㈱テクノコート
社長 沖本公太さん
溶射技術を全国へ展開
2022年03月01日号
今後は樹脂コーティングも
「溶射・ブラスト加工」を得意とする事業所で、山上忠信前社長が2013年に創業した。溶射とは、シャフトやケーシングなど金属部品の摩耗した部分へ、加熱した「金属溶射材」の微粒子を高速で被施工物(基材)に吹きつけ、被膜を形成する表面処理法。専門に請負っている事業所は全国的に少ないという。昨年6月から、沖本さんが2代目社長に就任した。
―創業の経緯を
「22年前に福山市内の事業所でこの仕事に就きましたが、当時上司だった山上会長(前社長)が独立されたので一緒に付いてきました。創業以来営業部長として全国を回り、事業全体のマネジメントなども担当していましたが、このほど世代交代が必要と、会長からバトンを渡されました」
―溶射の作業は大変そうですね
「扱う素材は高温で、粉じんは舞い、防護服を着込みますが中は暑く、仕事自体はなかなかきつい仕事です。ただ、素材がみるみる美しくコーティングされていくのは気分良いです。金属やセラミックなどほぼ全ての材料に対応できますし、現地での作業もできますので、化学薬品タンクや橋梁、鉄塔、水門などの大物でも施工を請け負えます。厚い被膜形成が可能なので、他の表面処理法と比べて成膜が速く、被施工物に与える熱の影響が少なく、変形や歪みも少なくできます。作り替えなければならないと思われていた被施工物が再利用できるので、補修費のコストダウンに繋がります」
―ブラストとは
「圧縮空気や遠心力を利用して、研削剤を加工面に高速で噴射し、その衝撃で錆びやスケールを除去して清掃を行う表面加工のことです。適切な粗さの粗面を生み出すことができるため、表面加工の下地処理にも使います。弊社へ送られてきた素材には表面に防さび材などが塗布されていることが多いので、表面を研磨するのに使います」
―新しい事業も始められるそうですね
「昨年4月から『樹脂コーティング』を新たに始動しました。熱もなく、表面を塞ぐなど即効性もあります。金属で表面処理ができないところに有効であり、事業の幅が広がると考えております」「横の繋がりも強化していきます。協力企業と一緒に仕事を受け、弊社はブラストや溶射、樹脂コーティングなど必要に応じて施工していきます」
「働きやすい会社でありたいと思います。みな技術を持った職人同士なので、互いに敬意を払いながらも思ったことを言い合える風通しの良い会社にしていきたいと思います。また、仕事は熟練も必要ですので、新人の養成や人材育成にも注力していきます」。
▽㈱テクノコート=府中市中須町885-1、電0847・54・2275
▽沖本公太=1974年、広島県大崎上島町生まれ。95年、中日本航空専門学校卒業。2013年にテクノコートへ入社し、営業部長を担当。20年、社長就任。