御池鐵工所
環境投資が旺盛で受注増
生産性向上で受注に備える
2022年07月10日号
社員の健康づくりを支援
産業廃棄物処理機製造の㈱御池鐵工所(福山市神辺町川南396―2、小林秀匡社長、電084・963・5500)は、SDGs(持続可能な開発目標)の社会的浸透もあって受注が堅調だ。2022年8月期も売上高75億円規模と前年並みの売上を見込む。同社では従業員の健康面に配慮した独自の福利厚生システムを確立しており、社員の生産性向上で拡大しつつあるニーズに対応する。
産業廃棄物を解砕する機械や製造工程で発生する塵を集める集塵機、選別機や固形燃料に加工する成形機など、さまざまなリサイクル機器をラインナップすることもあって、全国の環境関連企業のリサイクルプラントを一貫受注する提案力が武器。幅広い商品群を持つ廃棄物処理機器製造業者は国内では少なく、近年では埼玉や千葉、神奈川、静岡県といった都市部からの受注が増えていると言う。
同社は1953年に福山市新市町で創設し、1989年に業容拡大で現在地に移転。大幅に人材採用を進めたこともあって、当時入社した社員は45―50歳代と中堅層となり、肥満度を示す体格指数(BMI)が高い社員も増えていた。そこに危機感を持った小林社長(48)が、2021年に社員の肥満改善など健康づくりを支援する「御池健康化計画」に着手。一定の体脂肪率を維持した社員には昨夏のボーナスを3万円上乗せ支給。今夏に向けては26万円以上の上乗せも計画する。
社員の健康化計画では、2019年に社内にスポーツジム(150㎡)を開設。ランニングやバイクマシン、ダンベルなど本格的な設備を備え、BMI指数が問題視される社員は勤務時間内のトレーニングが義務付けられる「有給運動時間」を設けるなど、計画を推し進めている。
リサイクル市場は、「SDGs」の浸透もあって底堅く、今後も順調な受注が見込める。社員に長く勤務してもらう社内システムを作り、製造品質の向上や、営業人員の顧客との関係性も強化していく考え。埼玉県や福岡市、札幌市に営業所を持ち、今後は各拠点にスポーツジムの開設を計画する。
2000年頃は年商も50億円規模だったが、商品や提案力の向上もあって、20年8月期は66億8459万円、21年8月期は77億3195万円と受注の底上げに成功。毎年、大卒を中心に新卒社員も5人ほど採用している。同社では福利厚生面の拡充で、定着率の向上も見込む。
小林社長は「健康管理を推進することで社員の生産性がアップしている。リサイクル関連は追い風が吹いており、社内体制を整備し受注に備えたい」と話した。
同社は資本金9497万4千円、従業員は162人。