岡山乗馬俱楽部
引退競走馬を乗馬向けに再調教
「サンクスホースプロジェクト」

2022年07月10日号

新技術グラウンドワークを採用

西崎代表と共に障害馬術大会で優勝したタケルブラック号

西日本最大級の乗馬クラブである㈱岡山乗馬俱楽部(岡山県吉備中央町上田西2393―11、西崎純郎社長、電0867・34・9911、http://okayama-jobaclub.com/)は2016年から、引退した競走馬(サラブレッド)を再調教してセカンドキャリアに繋げて行く「サンクスホースプロジェクト」に取り組んでいる。このほど〔一社〕ジャパンホースグラウンドワーク協会(西崎理事長)を立ち上げ、グラウンドワークを取り入れた新しいやり方で人と馬との新しい関係性を築き始めた。

競走馬は早めに離乳し、競走するための英才教育を受け続けるため、馬としての社会性は学べないまま成長する。そのため乗馬用に適さず、引退競走馬は年間5千頭に上るものの、ごく一部の有名馬を除いて行方不明になることが多いという。そうした馬達を救おうと西崎社長(39)=写真=は同プロジェクトを立ち上げ、19年に認定NPO法人「サラブリトレーニング・ジャパン」を組織して、これまで中央競馬などで活躍した約200頭をリトレーニング(再調教)してきた。中には日本ダービーに出走した馬や、ディープインパクトやキングカメハメハの子など、成績も血統も輝かしい馬もいる。年間40-50頭を世話し、3カ月から半年で乗馬用の馬として全国の乗馬クラブや愛好者達へ販売する(40万円~)が、飼育費など出費も多く、吉備中央町と協力してふるさと納税での支援を呼び掛けている。

調教は従来通りの乗馬スタイルで行っていたが、落馬することもあり、地上で馬と意思疎通を行うグラウンドワークのやり方をこのほど取り入れた。闘争心を抑え、手綱無しで歩調を揃えて歩いたり、人の指示通りに動いたりできるようになって、信頼関係など構築してから騎乗する。同NPOでは、こうした再調教のやり方を学ぶ講座を設けたり、ホースセラピーや動物愛護、環境学習の一環になればと近隣の小学校から児童を招いて乗馬や馬房掃除などの世話をする体験学習を行ったりしている。

また、定期的に見学会も設けており、近くは7月18日〔月・祝〕、8月11日〔木・祝〕、9月23日〔金・祝〕の午後0時30分から2時間程度行う予定(参加費3千円、各月定員20人)。

西崎社長は、ハンディのあるなしに関わらず、馬をパートナーとして皆が活かされる社会作りにも取り組むほか、「この国に新しい馬文化を創造する」をキーワードに、乗馬クラブや就労支援B型事業所、児童発達支援・放課後等デイサービス、NPO法人などを展開するOJCグループを組織。「数千万円以上で取引され大舞台で活躍した馬が4―5歳で引退させられて25―30年の余生を送ることになります。そんな馬達が少しでも幸せな馬生が送れるよう、人と仲良く共生していけるようお手伝いしていきたい」と話している。