鞆町の重伝建地区
ホテルや飲食店の出店加速
トンネル工事着工が要因
2022年09月10日号
建物改修の補助金を活用
福山市鞆町の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建、約8・6ha)にホテルや飲食店などの出店が相次いでいる。長年の懸案事項だった同町の山側のトンネル工事の着工もあって、歴史ある町家の改修ペースが加速している。
鞆町は架橋問題で揺れていたが、広島県が計画を撤回し、トンネルを掘り町並みを迂回する案を提示し、今年5月には工事が始まった。2017年に国から重伝建に制定されるのに先駆け、福山市は2015年に重伝建の建物を復元する目的の改修に、最大900万円の補助金を出したことで、町並みの工事が進み、コロナ下ではあるが、20年度は26件、21年度は21件の改修工事があった。
1980年代に比べ、人口は半減し、衰退を見せる町だが、トンネル工事の着工に合わせ、重伝建の建物の売買が進むと試算し、同町で新規で不動産業者も開業。鞆出身や移住者でつくる㈱hitohi(福山市)は宿泊施設を3棟オープンした。
福山市(枝広直幹市長)は重伝建地区に7月、「鞆テラス」(電084・982・6760)を開設し、空き家活用などの相談に応じている。