パワーエックス
玉野市に蓄電池工場を建設
年間最大生産量は最大級規模

2023年03月20日号

自然エネルギーの普及に注力

Power Base完成イメージ図

自然エネルギー普及のため、蓄電池製品の製造及び提供を軸に事業展開する㈱パワーエックス(東京都港区、伊藤正裕社長兼CEO、https://power-x.jp/)は、玉島市田井6―2―8に、年間最大生産量(5GWh)が日本最大級となる蓄電池の製造工場「Power Base」を建設している。2023年末に試験稼働の開始を予定し、24年春からの本格量産を目指す。

玉野工場の概要

石膏ボードの製造工場跡地をリノベーションして建設中の「Power Base」(敷地面積約2万8千㎡)は工場、事務所、研究開発センターで構成される=写真上。玉野港を入出荷に活用し、海外から調達したバッテリーセルからモジュールを組み立て、再生可能エネルギーの活用などに利用する定置用蓄電池や電気自動車の急速充電用蓄電池に加工し、出荷する。また、蓄電池の製造を通してエネルギーの未来をつくる拠点としてだけでなく、オープンファクトリーとして、地域住民や瀬戸内を訪れる観光客などが気軽に立ち寄ることのできる空間を目指している。

同社は22年12月19日に玉野市と包括連携協定を締結した。雇用の創出や資材等の地元調達を押し進めるほか、サステナブルな地域社会づくりやスマートシティの推進など、将来にわたり「持続可能なまちづくり」の実現に向けて連携を図る。同日、同工場の建築に関する地元説明会を開き、工場の概要や安全性及び雇用計画について説明。段階的に採用者数を増やし、28年に100人以上の雇用規模にする計画を発表した。また、蓄電池を構成する数百パーツの内、最大65%程度を国内や地元で調達する方針。

生産統括部の古山雄一シニアマネージャーは「造船業の盛んな玉野市の製造力を活かし、蓄電池を構成する各種のパーツや大型のフレームなど、様々な部品を調達するためのサプライヤーを集めていきます」と話している。

3本の事業柱

伊藤社長兼CEOは14年からZOZOテクノロジーズの代表取締役CEOに就任し、グループの牽引役をつとめた。21年3月に同社を設立。資本金は57・9億円で、今治造船㈱や日本郵船㈱など25社を超える投資家や金融機関からの累計資産調達額は106億円にのぼる(23年3月現在)。

同社は自然エネルギーを爆発的に普及させることを目的に、国内の自社工場で蓄電池の製造を行い、①定置用、船舶用など、様々な用途に応じたサイズの蓄電池の製造販売を行う「蓄電池販売事業」、②蓄電池を搭載した急速EV充電機(100kW~)を用いた「PowerXチャージステーション」=写真下=を設置する「EV充電ステーション事業」、③世界初の電気で動く電気運搬船「Power ARK」の開発・製造を行う「電気運搬船事業」を展開する。

国内のEV充電インフラの整備では、同社は今夏から東京都内を中心に10カ所でチャージステーションを開設し、30年までに全国7千拠点へ展開する計画。加えて、フォルクスワーゲングループジャパン㈱のアウディ事業部と提携し、国内のアウディーディーラーへの充電器の導入も進める。また、25年を目標に、蓄電池を搭載した運搬船「Power ARK」1号艇の完成を目指し、詳細仕様の策定を開始している。