辻本店
4/20・21に御前酒まつり開催
純米無濾過生酒を限定販売
2024年04月10日号
今後3年間で全量菩提酛目指す
今年創業220年を迎えた御前酒蔵元㈱辻本店(真庭市勝山116、辻総一郎社長、電0867・44・3155、https://www.gozenshu.co.jp/)は4月20日〔土〕・21日〔日〕の午前10時—午後3時、「御前酒まつり2024春」を催す=写真。数量限定の生酒販売や15種類の酒の呑み比べ、飲食屋台やウルフルケイスケ生ライブなども行う。また、同社はここ3年間で酒米を全量「雄町」に切り替えたが、これから3年かけて日本最古の製法「菩提酛(ぼだいもと)仕込み」に全量を切り替えていくという。
酒まつりの目玉〝御前酒まつり酒〟として、新酒しぼりたての「純米無濾過生酒」を数量限定で販売する。出来立ての生酒を最後の濾過工程を経ずにそのまま出す蔵元ならではの酒で、しかも「雄町×菩提酛」仕込みという同社のみの幻の技法で作られた希少な品だという。1・8ℓ(税込3千円)と720ml(同1500円)があり、なくなり次第終了となる。また、「酒粕詰め放題」や「御前酒スタンド」として約15種類の酒を1杯100円~で販売するほか、御前酒茶屋として、発酵おつまみやあまざけ等を売り出し、屋台なども多数並ぶという。
ライブは21日で、ウルフルズのギタリスト・ウルフルケイスケさんが生ライブを行う予定。
全量「雄町×菩提酛」へ
「雄町」は、岡山市が発祥の酒造好適米で、現在広く普及している「山田錦」や「五百万石」のルーツとなった、現存する日本最古の原生品種と言われている。全国の95%が岡山県内で生産されている。
「菩提酛」は、室町時代に奈良県で生まれたとされる伝統的な酒造法で、管理が難しく、現在では廃れてしまっていたが、先代杜氏の原田巧さんが試行錯誤を繰り返しながら1986年に復活させたという。少量の米麹を水に浸け、乳酸菌を繁殖させて「そやし水」を作り、乳酸が大量に生成された頃に一度加熱殺菌をして安全性を高めてから仕込水として使うというやり方で、今後3年間で同社の酒を全量「菩提酛」に変えていく予定だという。急逝した原田さんの跡を継いだ女性杜氏の辻麻衣子さんは「菩提酛は乳酸菌のおかげでフレッシュなうちは甘みと酸味を感じますが、熟成するとそれが深みになり、豊かな味わいを感じさせるようになります」と話す。今年はCLASSICS生など7割弱を菩提酛で作り、来期は純米大吟醸などで、3年目の創業222年には主力商材である「美作」も菩提酛仕込みにしていく。「ファンの多いお酒ですので、より美味しくなるよう慎重に進めていきます」と意気込んでいる。