㈱世羅の大地
社長 松浦辰行さん
「松茸といえば世羅の大地」

2024年09月20日号

ニーズに即応し差別化を図る

まつうらたつゆき(71)

流通量わずか2―5%という国産松茸の、国内有数の専門取扱店「国産松茸販売センター」を運営。国産松茸の予約受付をこのほど開始した。樅木の木箱入りの最高級品(特選「極」、税込30万円)から規格外品まで各種取り揃えている。特に今年は、松茸が出始めてから数日間だけ収穫できる貴重な「コロ」(1本10g—20g)35本前後を桐箱に詰め合わせた「はしり」=写真=をECサイト(https://kokusan-matsutake.com/)のみで予約販売を始めた。

―国産松茸にこだわるのは

「母が戦前に始めた松茸問屋を手伝い、高校生の頃から近所を回って松茸を買い取るなど、50年以上の取り扱い経験があり、目利きには自信があります。近隣で採れなくなりましたが、北海道や岩手、山口など、全国の産地から直接買い取ったりしています。そうやって入手した本物の国産松茸には豊かで華やかな香りがありますが、香りは鮮度と直結しており、鮮度は水分量に起因しています。その豊かで華やかな香りを最高の状態でお届けするよう努力を積み重ねており、毎年東京、大阪、京都の市場で最高値を付けるなど高い評価を得ています。今年は2300㎏を扱った2016年に気候が似ているので、今年も豊作ではないかと思います」

―コロとはなんでしょう

「松茸好きな方に人気のある形で、シャキシャキして非常に美味しいです。小さめの松茸ですが、みそ漬けや、佃煮にして関係者の間で親しまれています。食感の良さや美味しさを知っていただきたいと思い、量を沢山詰めて存在感を出し、商品化しました。ほかにも、最高値を付けたのと同レベルの高品質な松茸のセットから、企業間の贈答品として利用しやすい価格帯のものや1万円以下のお求めやすいものまで、幅広く揃えています」

―冷凍もありますね

「松茸のシーズンは2カ月ほどですが、その時期以外にもお取引を望まれます。そこで2017年に冷凍加工を始め、その後急速凍結機を導入しました。また、売り物にしにくいB・C級品は『松茸ジェラートもなか』や『松茸香る国産松茸ごはん』、国内屈指の製塩家・田野屋塩二郎さんとのコラボで国産松茸と海水のみから作った『国産松茸芳香塩』などの加工品に利用しています。1年を通して仕事があるため、雇用も充実しました。ニーズに即応し、『松茸といえば世羅の大地』と日本中で認知していただけるよう、努力し続けます」

―様々なことにチャレンジされていますね

「税理士としての仕事のほか、業界最大級の日本M&Aセンターとも提携して事業承継のお手伝いもしています。また、8年前から身体作りにも挑戦し、96㎏もあった体重を2年で71㎏にまで落とし、その後筋力トレーニングも欠かさず行っています。マスターズの陸上競技には6種目に出場して好成績を残しました。50年後、120歳で100走の世界記録を出したいと思います」

▽㈱世羅の大地=広島県世羅町西神崎958—1、電0847・25・0087、https://www.kokusan-matsutake.jp/

▽松浦辰行=1953年3月、世羅町生まれ。松茸問屋松浦商店で選別眼を養う。71年に日彰館高校を卒業。73年に専修大学経済学部へ入学し、77年に卒業。80年に税理士免許を取得し、82年に税理士事務所を開業。87年、地元松茸業者5軒と共同で㈱広島松茸設立(まつたけ村)。2011年に独立し、㈱世羅の大地設立。15年、智創税理士法人税理士広島事務所開設。16年、国産松茸専門店国産松茸販売センターを開店。