太陽都市クリーナー
業務改革と災害時の事業継続
(BCP)対策をクラウド活用で
2025年08月20日号
先進的DX活用術「TTC—DX」
一般・産業廃棄物収集や浄化槽管理などを営む㈱太陽都市クリーナー(=TTC、府中市中須町1515、電0847・45・5326)の森山直洋社長(49)は、2018年の西日本豪雨での水害危機を機に業務のクラウド化を決意。「人が少ない中での持続可能な仕組みづくり」「属人化をなくして誰でも仕事ができる環境づくり」「紙と電話から脱却し、業務の見える化を図る」をテーマにDX化を推進してきた。ただ、「クラウド導入=人件費削減」ではなく、「人を守り、会社を続けるための環境整備」が目的と強調。先進的な取り組みを取材した。 (山田富夫)
「情報」のクラウド化から
社屋が川のすぐそばにあることから、浸水被害によるサーバやデータが損壊する危機を回避するため、クラウド化を推進した。手探り状態だったが、業務内容を精査するとともにそれに見合うソフト・アプリを検索して、コスパに合うものを順次試していった。
まず、IT時代に必須なのが、情報の交通整理を行いコンパクトにまとめるツールで、生成AIであらゆる質問や相談に対応する「ChatGPT」▽音声を文字起こしし、要旨をまとめる「notta」▽資料や報告書、PDFデータなどを整理し、ニーズに応じてまとめる「NotebookLM」を選んだ。特にNotebookLMは、行政機関などからくる難解な文章をわかりやすくまとめ、ラジオパーソナリティが番組で喋っているように読み上げることもできる。
情報共有の大切さ
社員間の情報共有には「Chatwork」と「Google Workspace」があり、前者を使えば朝礼で集まる必要もなく、連絡漏れなども起こらず、スケジュール管理も容易で、時間の有効活用が図れる。さらに、クラウドPBXを活用することで、会社に固定式の代表電話を置くことが要らず、例えば会社にかかってきた電話を、在宅勤務の事務員が自分のスマホで受け、各自のスケジュールを見ながら出張先や外出先にいる社長へ繋ぐ、ということも可能だ。これにより、在宅勤務がしやすくなり、有給休暇も日にちではなく1時間単位で取得することが可能になった。子どもの病気や介護などの都合で急に半日休まなければならなくなったときも対応が容易にできる。
後者は、汎用度合が高く、設定をきちんとニーズに合った形で利用すれば、業務の大幅な効率化が望める。携帯電話やモバイルなどで情報共有が行えるので、在宅勤務がしやすくなり、電話などでの共有忘れも防げる。郵便物が届くとスキャンしてデータ化することで、支払いや帳簿管理が簡単にできるし、過去のデータもすぐに呼び出すこともできる。
会計業務をすっきりと
会計業務に関しては、「マネーフォワード」を利用。請求書から経費精算、給与、年末調整まで全て1本化できることが強みだ。現場で消耗品などを購入した際も領収書の画像を添付しておけば、事務所で簡単に管理・修正して仕分けることができ、〝事務所で清算〟や〝給与で処理〟などが柔軟に対応できる。
また、「クラウド会計」では各銀行の残高や入金状況がリアルタイムで確認できるうえ、月毎の試算表や売上高などの項目別での前年同期比などもすぐ確認できるので、経営判断が必要な際も善後策を早めに打つことができ、年度末の確定申告もスピーディに終わらせることができる。
勤退や勤務態度を把握
タイムカードをなくし、スマホで勤怠状況を申告することにした。廃棄物の巡回回収や浄化槽の維持管理が主な生業であり、作業員は数台の車を乗り換えることもある。そこで、「Dr.ライセンス」で、作業車のドライバーを顔認証で判別し、誰がどの車でどの車両で、何時間、何キロ走っているか、をデータとして管理する。
また、地図上で走行記録が出るので、ゴミ回収のし忘れなどのチェックや、目線が何秒間進路以外へ向いていたかなどのチェックもできることから、どういう危険運転があったか、なども記録として把握できる。安全運転の習慣化を促す仕組みが整備されており、危険運転通知や車両日報の自動作成などにより、ドライバーは自然と安全運転を意識するようになる。
まとめ
「30人以下の中小企業こそ、こうしたツールを活用すべき」と森山社長。AIの飛躍的な進化によって、今回導入したソフトで経理や営業、人事の効率化が図れるが、それはトップがその都度状況を把握し、指示が出しやすい規模だからできる、と話す。さらに、「こういったものは、自分は苦手だから紙でやるわ、というようなことがあると成立しません。小学校でもモバイルを使っての授業が行われており、使いこなせる子たちがいずれお客様になり、社員として雇うことになります。機械は苦手だから……では、もはや通用しない時代です」とも。
こうしたソフトは、家電のように誰でも使えるよう機能を簡素化しているわけでなく、様々にある機能を理解し、自分の会社に合ったカスタマイズが必要で、また、その都度最新のものへアップデートさせていかなければならない。さらに、次々と新しいソフトが生み出され、よりよい機能が追加されたソフトが出てきたり、顧客が使っているソフトとの相性などもあるかもしれない。「その努力によって、社員が働きやすくなったり、時間や業務に余裕が出たりします。そしてその分を、会社で使うのでなく、自分達のために使ってほしい。少子化の影響で、新卒者の入社が厳しくなっていますが、業務の効率化によって、今いる社員が楽になり、辞めにくくなることも、会社存続に大切なことです。皆が気持ちよく働き、自分の時間も大切にできること。デジタル化は、人の仕事を奪うのでなく、無駄を省いて整理することで人の持つポテンシャルを引き出すツールです」と微笑んだ。
※同社では、DX化に関する相談や、社内見学なども受け付けている。詳細は森山社長まで。