ワールド工業㈱
社長 梅本恭宏さん
3㎜の厚付けや筆めっきなど

2025年09月10日号

独自技術で短納期低コスト実現

うめもと やすひろ(57)

創業以来、硬質クロムの厚付けや「無電解ニッケルめっき」を得意としてきたが、このほど、「筆めっき」を本格化。造船業や機械メーカー、半導体、製紙会社、建設・工作機械などの工場へ出張し、現地で「めっき修復」が行えることで、分解して金属材料で肉盛りしてからめっきするよりも大幅な短納期・低コストを実現している。ニッケルや銅でも同様に筆めっきで施工ができるのは、世界でも唯一ではと胸を張る。

—独自技術が多いようですね

「造船所からのニーズに応えようと研究を重ね、めっき液の素材の配合も独自の研究成果です。通常は通常は0・02—03㎜で行うのを、弊社では最大3㎜まで厚くできます。業界初でオンリーワン技術です」

「特に船の金属部分は、塩による腐食でもろくなりやすく、それを防ぐために『めっき』をして耐久性を高めるのですが、はがれた後は金属部分が薄くなります。金属を溶接で盛ってその上にめっき処理を施すため、時間も費用も掛かりますが、弊社の技術では、薄くなった部分もめっきでカバーするので、めっきもはがれにくく丈夫になり、かえって長持ちします」

—筆めっきとは

「筆めっき歴30年のベテラン職人が、現地へ出張して施工します。わざわざ機械を分解して輸送したりする手間や時間が節約でき、また、時間も短縮してできるので、人件費も安く済みます。これは、弊社独自のめっき溶液とベテラン職人とのタッグによって生み出されたものですので、世界でも類を見ない特殊技術だと自負しています。さらに、ニッケルや銅でも筆めっきができます。銅は導電性の高い金属ですが、近年高額になっているため気軽に使えませんが、銅めっきを施すことで性能を高めることができる上、出張してできるので、弊社の技術が近年、全国で注目を集めています」

—「無電解ニッケルめっき」というのもありますね

「無電解ニッケルめっきは、化学反応で皮膜を形成するめっき加工技術であり、半導体製造機械など均一性が求められる複雑形状の精密性の高い機械や、セラミックス、樹脂など導電性のない製品でも施工できます。自動車や飛行機などの精密機械部品でのニーズが高く、このほど槽を縦1500×横1600×深さ1700㎜に大型化して、大型部品の加工も請け負えるようになりました」

—防犯活動にも注力していますね

「娘の小学校入学を機に『交通指導員』を始め、子ども達から元気を貰い、地域の安心安全の大切さを学びました。2011年に福山東警察署から『職場防犯リーダーモデル事業所』に指定され、4年前には広島県警本部長より少年補導協助員に委嘱、今年8月に広島県警生活安全部長からサイバー防犯ボランティアとして委嘱されました。地域の安心安全に、我々企業側もできることをしていくべきだと思います」

▽ワールド工業㈱=福山市箕島町南丘6484—3(本社・第1工場)、同市箕島町6430(第2工場)、電084・981・0465、https://world0527.co.jp/

▽梅本恭宏=1968年5月、福山市生まれ。福山工業高校を88年に卒業後、大阪工業技術専門学校へ入学。90年に卒業後、帰郷して梅本工業㈱へ入社。92年に、父・民博さんと独立し、金属めっきを得意とするワールド工業㈱を創業。2004年に、民博社長が会長へ昇進するとともに、専務から社長へ昇進した。