三暁
「鍛造鉄フライパン」を発売
鉄フライパンメーカーと協業

2025年10月10日号

職人の手仕事と独自技術のコラボ

各種鍛造や精密溶断、機械加工品の設計・製造・販売を行う㈱三暁(福山市鞆町後地26-179、早間寛将社長、電084・983・5551)はこのほど、鉄フライパンメーカーの藤田金属㈱(大阪府八尾市)と協業で、「鍛造鉄フライパン」(税込3万3千円)を製作=写真上。公式オンライン(https://frypan-village.com/products/santo)か、直営店でのみ限定販売する。

刀鍛冶をルーツとする職人達は、江戸期からは船具(錨や船釘)作りに転換して潮待ちの港で知られた鞆の浦を支えてきた。今も同港の東部に広がる鞆鉄鋼団地には様々な金属関係の会社が集まり、日々様々なものづくりが行われている。

三暁は2020年、同所に古くから伝わる船の錨を製造する「自由鍛造」技術を広く知ってもらうプロジェクトとして「鍛造体験プラン」をスタート。その際、職人の技術で作られた「鍛造鉄フライパン」を「TSUCHIME(ツチメ)」として商品化した。22年8月には、そうした金属加工技術を更に周知しようと〝ものづくりの価値を伝える〟施設santo(サント)を本社近くにオープンした。

同フライパンは、職人の手で鉄板を「熱して叩く」を繰り返し、約300回叩いて「鎚目」を付けながら成形=写真下。その「鎚目の凸凹」により、鉄板に油が馴染みやすく焦げ付きにくくなる特性が付加されるという。また、2・3㎜の分厚い鉄板を使用しているため、保温性に優れており、ステーキなどの「じっくり調理」にも最適なほか、様々な料理に対応できるという。サイズは約250㎜、重さは約1・15㎏。

さらに、藤田金属独自の「ハードテンパー」加工(700度まで高温バーナーで焼き、一定期間冷ましたのちに食用オリーブオイルを馴染ませる)が施されており、通常の鉄フライパンでは必要な「油ならし」が不要なり、焦げ付きやこびりつき、錆も防止されるという。オリジナルハンドルは「長持ち」を追求した鉄製ハンドルで、職人が1点1点溶接で取り付けており、グリル、オーブンでも使用可能だという。

早間社長は「こうした協業から、鞆の鉄加工の文化やものづくりの町福山を広く知っていただくきっかけになれば」と話している。