福山シンフォニーオーケストラ
松岡巖理事長が95歳で逝去
「福山は音楽文化都市」と力説

2025年12月01日号

後任の理事長に苅谷友之さん

松岡巖さん

特定非営利活動法人「福山シンフォニーオーケストラ」(事務局=福山市曙町1―16―8・㈱イシイ内、電084・957・1107)の理事長・松岡巖さん(松岡病院理事長)が9月に95歳で亡くなられ、音楽・文化関係者を中心に逝去を惜しむと共に、松岡さんの功績を称える声が相次いでいる。

経済リポートでは2021年7月に〔公財〕ふくやま芸術文化財団の理事長に就任した、福山出身の世界的音響設計家でリーデンローズの音響設計に携わった豊田泰久さんの特集記事を掲載した際、松岡さんについて次のように紹介している。

松岡巖さんは、2009年からコミュニティ・オーケストラ「福山シンフォニーオーケストラ」の理事長を務め、1999年に発足した同オーケストラを「おらがまちのオーケストラとして、国際レベルの音響設備を持つリーデンローズと共に、市民はもっと誇りを持つべきだ」と力説、「福山は優れた『音楽文化都市』だ」と言ってはばからない。

松岡さんは1992年、リーデンローズ建設に着手する3年前に結成された「文化ホールについて市民の意見を聞く会」の中心メンバーとして、当時市の職員でその後リーデンローズ・ホール担当次長を務めた小林実さん(元・福山文化連事務局長)らと共に活動。市民から公募したホール名「リーデンローズ」(芦田川や福山城の別名・葦陽城から取った『葦(リード)』と、市花『ばら(ローズ)』の造語)の選定などに関わったが、忘れてはならないのが小ホール(312席)の設計変更だ。

当初は床がセメント張りで折り畳み式の椅子を設置するような設計になっていたが、松岡さんは「せっかくのホールにふさわしくない。音響を重視した設計を」と、市を通じて豊田さんらに設計変更を要請したという。

松岡さんは「ウィーン楽友協会ホールのようなホールが実現し、大ホール(2003席)と共に内外の演奏家から音響に高い評価を得ております」と、当時豊田さんらの柔軟な対応に感謝すると同時に、「今後、福山シンフォニーオーケストラを含め、地元の演奏団体を大切にする企画を考えてほしい」と強く要望した。

苅谷友之さん

福山シンフォニーオーケストラは松岡さんの逝去を受け、後任の理事長に副理事長の苅谷友之さん(62)を選んだ。苅谷新理事長は1963年7月生まれ。浄土真宗本願寺派 光善寺(福山市東町)の住職を務めている。
同オーケストラは、毎年7月の定期演奏会や2月の「バレンタインファミリーコンサート」のほか、福山市内の小学校や病院に出向いて無料のミニコンサートを開催。これらの活動が評価され、2011年に福山市から善行市民賞の団体賞を受賞したほか、13年にはクラシック音楽専門誌「音楽の友」で紹介された。さらに、松岡さんは医療発展や音楽普及で功績があった点が認められ、16年に〔一財〕澁谷長寿健康財団から「澁谷昇賞」を受けた。