AEMCが活動開始から20年
芦田川流域の水環境改善が目標
これまでの活動を振り返る

2026年02月01日号

水質は概ね環境基準を達成

総合評価結果マップ

芦田川の水環境改善を目指す官民ネットワーク「芦田川環境マネジメントセンター=AEMC」(事務局=福山市西町2―10ー1・エフエムふくやま内、田中宏行会長、電090・2381・6619=事務局直通)は、2004年10月1日に活動を開始し、昨年10月で20年の節目を迎えた。芦田川流域の水環境改善を大きな目標に、身近な水路の浄化や生活排水負荷の削減など、流域住民への啓発や住民と行政との連携促進を目指し発足した組織で、単に「川をきれいにする」だけではない。流域の課題を「自分ごと」にしてもらうための情報発信、学び、合意形成、そして行動の後押し等、その積み重ねの20年であったという。設立当初から事務局として現場に立ち会ってきた事務局の川嶋康彦さん(㈱建設技術研究所 大阪本社 環境部)に語ってもらった。 (西原 洋)

【これまでの活動】

AEMCでは、芦田川をよりよい川とするため、芦田川とその支川で、水質や色、臭いなどで評価する「川の健康診断」、魚や水生生物などの生きものを調べる「水辺の学び舎」、家庭で出来る水質浄化の取り組みを流域住民に呼びかける社会実験となる「河川浄化チャレンジ月間」の3つの活動を柱とした「芦田川きれい☆きれいプロジェクト」に取り組んできた。

(1)川の健康診断

川の健康診断は、2004年度秋調査からスタートし、24年度で通算41回となった。芦田川とその支流の17地点を対象に、毎年、春季と秋季年2回の調査を実施している。開始当初は、一般参加を中心にグループ分けを行い実施していたが、近年は、調査データの継続取得を目的に事務局スタッフとボランティア参加により実施し、調査結果をHPやニュースレター等で公表することで芦田川の水環境の現状や課題の啓発に取り組んできた。

(2)水辺の学び舎

水辺の学び舎

05年度からスタートし、24年度で通算16回となる。芦田川上流の府中大渡橋および「府中こどもの国ポムポム」に隣接する支流の出口川の水辺広場の2地点で一般参加による水辺の生きもの調査を毎年1回実施し、調査結果のとりまとめを行っている。これまでの活動で延べ1282人の参加が得られた。調査においては、府中大渡橋では延べ22種類の魚類とその他の36種類の水生生物、出口川では23種類の魚類と49種類のその他の水生生物等が確認されている。近年はごみの調査も併せて行い、更なる啓発も行っている。重要種であるアカザをはじめ、芦田川やその支流に生息している様々な生き物とのふれあいを通じて、環境への理解や芦田川への愛着を高める等の効果が得られている。

(3)河川浄化チャレンジ月間

芦田川支流瀬戸川の水質の経年変化

07年度からスタートし、24年度で通算16回となる。芦田川支流の瀬戸川・高屋川流域を中心に、芦田川流域全体に「家庭で出来る水質浄化の5つの取り組み」の実践を呼びかけ、これまでの活動で延べ4万8261世帯の参加が得られた。アンケートでは、「チャレンジ月間のお蔭で、環境への意識が高まった」「食べ残しや油の処理、洗剤の量等に気を付けるようになった」など、芦田川や環境に対する意識改善効果が得られている。

【今後の展望】

取り組みの成果として、芦田川の水質は改善傾向にある。芦田川の水質改善計画である第Ⅱ期アクションプランでは、15〜18(平成27〜30)年の芦田川水質が概ね環境基準を達成した旨が示される一方で、芦田川の環境や景観に影響するごみの問題等、更なる芦田川の環境改善に向けて、継続的な取組みが必要であることが整理されている。

ここに、次の20年のヒントがある。数値は改善しても、住民が「気持ちいい」と思える水辺になっているかなど、子どもが遊びたくなるか、来訪者が写真を撮りたくなるか、体感価値に踏み込む必要がある。計画のスローガンも「人々が誇れる芦田川を目指して、一緒に取り組もう!」と示されている。

20年続けてきて、痛感するのは「川は、暮らしの鏡」だということだ。川だけを変えることはできない。暮らし、産業、まちのあり方がにじみ出る。だからこそ、AEMCはこれからも「芦田川流域の窓口」として、地域の多様な主体が関われる機会を増やし、測り、語り、動く場をつくり続けたい。また、近年は、地元の学校からも芦田川の環境についての講習会等の依頼が増えており、学校との連携を通じて、流域の子供たちに芦田川の大切さを伝えていきたい。次の20年も、芦田川を「誇れる川」にするために。