パティスリー&ブーランジュリー
アールブリュット オーナーシェフ
木村充均さん

2026年08月01日号

都市部と地方とをバリアフリー化
「ケーキ屋の常識を打ち破る」店

きむら みつひろ(45)

岡山市の中心部で、様々な個性的な飲食店が軒を連ねる中、ひときわ異彩を放つ、黒を基調としたスタイリッシュな店がある。「ケーキ屋の常識を打ち破る」ことをコンセプトに立ち上げたスィーツとパンの店で、店内も黒を基調に、宝飾店のようなショーケースの中に芸術品のようなスィーツが並ぶ。来年8月で10周年を迎えるのに合わせ、都内に店舗を増やし、都市部と地方とのバリアフリー化を目指している。

―「ケーキ屋の常識を打ち破る」とは

「原点が、母の作ってくれた、愛情たっぷりのチーズケーキなんです。母は看護師で共働きだったのですが、食事には気を遣い、おやつも市販のものではなく手づくりでした。僕の体を気遣う気持ちがあふれ、『誰かのために作る』ことの大切さを学びました。それで、高校で調理を学び、パティシエとしていくつかの有名店で腕を磨いたうえで、飲食を総合的にプロデュースする会社に入りました。店舗経営についていろいろ学ばせてもらいましたが、あるシェフとの出会いが最も衝撃的でした。前菜やデザートは添え物のように扱われることが多いのですが、彼は、前菜は食事前、デザートは食後の余韻を楽しむ料理の一つであり、手を抜くことを許さなかった。メニューの一つ一つに必ず意味や想いがあることを教えられ、以来、素材や製法、盛り付けや出し方など、全ての歴史や意味にこだわっています」

アールブリュット店内の様子

―店もケーキも独自性にあふれていますね

「基本的に黒が好きで、他の人がやってないことをしたかった。パンを販売するのも、欧州ではパン屋とスィーツ店の区別はないからです。ほかにも、当店のモンブラン(Mont Blanc=白い山)は名前の通り白い山にしています。ミルフイユ(千枚の葉)も、丁寧に重ねて3日かけて作ります。すべての基本となるカスタード作りには特に力を入れ、新人には徹底的に習得してもらいます。厳しいかも知れませんが〝本物〟をお届けしたいのです」

―レグザコンという集まりを呼び掛けていますが

「同じ志を持ったパティシエの仲間たちで、6人が情報共有や共同企画などを展開しています。バレンタインとかで、各店のチョコレートを集め6個収めたレグザコンショコラなどを共同で販売したりしています。都市部と地方との違いは、先鋭的に競い合える仲間が近くにいるかどうか、ということも重要で、互いに刺激し合って、切磋琢磨しています」

―今後の展開を

「都会へ出たい若者は多く、人材不足は否めません。逆に、東京から地方へ行きたい若者もいます。現在東京で、荻窪にワインレストランALCOLI、恵比須にイタリアンレストランCescoという店を2店舗出しておりますが、更にアールブリュットのようなスィーツ店を展開し、双方で働ける環境を作ることで優秀な人材や流行のバリアフリー化を目指します」

▽パティスリー&ブーランジュリー アールブリュット=岡山市北区今3—24—31、電086・259・0323、https://p-b-artbrut.com/、@art_brut0815/、営業時間 午前10時—午後7時、不定休

▽木村充均=1981年1月9日、岡山県早島町生まれ。98年、香川県・私立坂出第一高校食物科卒。2001年よりシーサイドホテル舞⼦ビラ神⼾(神⼾市垂⽔区)、パティスリープラネッツ(東京都練⾺区)で修⾏を重ね、10年から各種飲食店の企画・開発・運営などの㈱ワイズテーブルコーポレーションへ入社。パティスリー統括のスーシェフ(副料理長)として腕を振るう。17年8⽉15⽇に現店舗を開業した。