ワイド岡山
浮世絵・倉敷 国芳館が開館
倉敷美観地区に

2021年08月01日号

美術館・博物館が集積

「浮世絵・倉敷 国芳(くによし)館」の入館口

 倉敷美観地区に「浮世絵・倉敷 国芳館」(倉敷市本町1─24)が開館した。北斎、歌麿と並び称される江戸時代の浮世絵師・歌川国芳の作品を展示する世界初の美術館だ。

 「浮世絵・倉敷 国芳館」は美観地区内の阿智神社に登る石段脇に開設された。鶴形山の斜面に建てられた由緒ある木造旅館を全面改装し、国芳の代表作やその系譜に連なる月岡芳年らの浮世絵100点以上を展示。現代では失われた驚異的な彫り、刷りの技術を目の当たりにできる。

 ダイナミックな武者絵で海外でも人気がある国芳だが、専門の美術館は世界初。インバウンドを視野に入れた美術館の新設を企画したコレクターが、開設地として倉敷美観地区を選んだ。開館時間は午前10時─午後6時で火曜休館。一般入場料1300円。

アートの集積地に

 倉敷美観地区といえば大原美術館があまりに有名だが、周辺には見ごたえあるアート施設が多数点在する。今年4月に開館した「きび美ミュージアム」(倉敷市中央1─4─22、電086・425・8080)は日本刀、備前焼など吉備国ゆかりの美術品を展示。建物は古くからある竹林に囲まれた複合施設「くらしき宵待ちガーデン」内にある。

 倉敷ロイヤルアートホテル(同阿知3─21─19、電086・423・2400)は、先進国が不法投棄した廃材を使ったアート作品を展示・販売する「マゴ・ギャラリー」を地階に開設。すぐ近くに各種オーダーメイド品を作る「ナントカ百貨」(同3─22─25)と笠岡在住の現代美術家・川埜(かわの)龍三氏の個人ギャラリー「ラガルト」もある。

 倉敷美観地区は築100年を超える建物がぎっしりと建ち並び、その多くで実際の居住者の生活が営まれているという全国的にも特異な地域だ。街の魅力が美術ファンを惹きつけ、美術施設の集積地となっている。