今日の一句
端正な理髪店主の松手入
2019年10月10日号
大倉祥男(俳人協会評議員・赤磐市在住)
松手入(まつていれ)とは庭木の松を剪定(せんてい)することで、秋の季語。伸び過ぎた枝を大胆に切り、古葉を取り除いた松の木は見違えるほどさっぱりした姿になる。つまりは松の散髪なのだが、シロウトはどこから手をつけてよいものかも分からず、たいていの家では庭師さんにお任せすることになる。ところが町内の理髪店のご主人は自ら脚立に上り、自分で植木鋏をふるうのだ。プロほど手早くはないものの、お仕事柄まことに端正に葉先を切り揃えている。
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