今日の一句
八ッ橋の影の定まる立夏かな
2020年05月01日号
大倉祥男(俳人協会評議員・赤磐市在住)
八ッ橋は浅い池や小川などの川底に杭を打ち、これを支えに数枚の板をギザギザに渡して橋としたものだ。伊勢物語の主人公が愛知県三河の国八橋を訪れた際、橋のたもとで咲くカキツバタの花を見て「からごろも着つつなれにし妻しあればはるばる来ぬる旅をしぞおもふ」の歌を詠んだことで知られる。八枚の板が稲妻型に連なる装飾的な形が印象的で、庭園の水辺によく掛けられている。掲載句は大倉氏が岡山後楽園の曲水に掛かる八ッ橋=写真=をイメージして詠んだもの。あちこちを向いた橋板は動きを感じさせるが、水面に目を移せばそこに映る橋の影はぴたり定まっていると感じたのだ。
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