新市和田歯科医院
和田圭祐さん
歯科医として80年の思い受継ぐ

2024年01月10日号

最先端医療の後継者育成を図る

わだけいすけ(53)

初代・和田弘さんが1943年に新市町で和田歯科医院を開業。子息の勝院長(82)は67年に帰郷し、地元に根差し先進的な技術で質の高い治療に取り組んできた。孫の圭佑さんは2018年までの14年間、米国ハーバード大学院で歯周病専門医・医学博士を取得後、ペンシルバニア大学・准教授、テンプル大学・歯周病インプラント学講座の主任教授として、教育、研究、専門医への手術指導ならびに難症例の治療を行ってきた。5年前に帰国して、現在は東京と新市町との2拠点を軸に、歯科医として祖父から紡がれてきた80年の思いを受け継いでいくという。

―帰国して5年が経ちましたが
「これまで米国の最先端歯科医療の現場で研究や治療など多く経験してきました。そこで培った技術を日本に持ち帰り、80年もの長い間治療に携わらせていただいた地域の方にもご恩返しできたらと、手術など担当しております。加えて、広島大学歯学部客員教授、東京医科歯科大学歯学部、歯周病やレーザーの学会での講演活動なども行っており、3年前都内に医院を開設したこともあって、2拠点での治療になっております」

―歯周病について
「歯周病は歯周病菌が歯と歯茎の間で炎症を起こし、歯肉や歯を支える骨などが溶けて歯が抜けてしまう病気です。なので、加齢により自然に歯が抜けるというのは迷信で、ほとんどの場合、正しくメンテナンスをして歯周病を予防していれば最期まで健康な歯を維持できます。インプラントも手段の一つですが、まずはできる限り自分の歯を残しましょう。しっかり噛むことは、味覚を楽しみ、消化を助け、健康増進に繋がります」

―レーザー治療にも注力されていますね
「中等度、重度の歯周病においても適切なレーザーで低侵襲治療が適用できる場合があります。当院では12年前からアメリカ食品医薬品局(FDA)より承認を受けたレーザー歯周病治療(LANAP)を新市院へ導入し、多くの治療実績を得てきました。LANAPは2016年に、FDAによって歯の周りの骨再生の効果が認定された唯一のレーザー治療法であり、私も22年のアメリカ歯周病学会において、同レーザー治療の成果について基調講演を行いました。今後は歯周病専門医を中心に、同治療法の認知が広まっていくだろうと感じております」

―今後の活動を
「今後は自分が得てきた技術や経験をさらに進化させ、これまでよりシンプルで有効性、長期安定性、審美性の高い治療プロトコールを創出したいと思います。それを若い歯科医師へ伝え、歯科医師の底上げに寄与していくことに情熱を燃やしています。それと同じくらい、私を育ててくれた備後に帰郷して治療することが何よりの楽しみになっております。どこで仕事をしていても備後発世界へという気持ちを持ち、祖父、父の背中を追いながら100周年を目指したいと思います」。

▷和田圭祐DDS.PhD.DMSc.DMD = 1970 年生まれ。広大歯学部を卒業後、名大医学部大学院と米国ハーバード大歯学部大学院で医学博士号を取得。2011 年には米国若手大学教官の最高栄誉「ネビンス賞」受賞。米国歯周病専門医・歯周病学会(AAP)認定医。テンプル大歯学部歯周病インプラント学講座・ペンシルバニア大歯学部歯周病学講座・広大歯学部口腔外科学講座客員教授、東京医科歯科大非常勤講師。

▷新市和田歯科医院=福山市新市町新市695—2、和田 勝院長、電0847・52・6480