いのうえ　かずしげ（58）

幅広く国内外の芸術作品を扱う
▽本社＝高松市丸亀町３─13丸亀町参番街西館３階、電０８７・８

０２・４５０８。

▽福山営業所＝福山市三之丸町１─18、電０１２０・１２２・５５３。
▽岡山取次所＝岡山市北区駅元町29─13、電０１２０・１２２・５３３。

ＪＲ福山駅に最も近いマンション「アルファゲートタワー福山駅前」に９月１日、洋画・日本画・版画などの絵画から、現代アート・彫刻・陶芸作品など幅広い作品を扱う「イノウエ商会・福山営業所」がオープンした。井上社長は高校時代野球に没頭し、甲子園に出場しなかったものの有名選手名鑑に載るほど活躍。卒業後も社会人野球で数々の成績を残している。野球人生を経て経営者へと転身、野球とアートへの思いを聞いた。

─岡山東商業高校卒業後、三菱自動車に入社し硬式野球部に所属されていましたが、当時はどんな思いがありましたか
「高校卒業後、三菱自動車に入社しましたが、十代から二十代にかけて野球に没頭しました。何としてもプロ野球選手になりたい、その一心で練習に励んだものです。先輩に八木裕（元タイガース、日ハムコーチ）後輩に入来智（ヤクルト）がいます。社会

人野球時代は１９８５年に優勝したＰＬ学園や、79年に優勝した箕島高校などの甲子園優勝メンバーが多数在籍していました。レベルが高く、野球漬けの毎日でしたが、足の怪我をして野球を続けることが難しくなり、プロの道を断念しました」
─天満屋に入社した経緯は
「天満屋に岡山東商業時代の先輩がいまして、声を掛けてもらって入社しました。外商部に所属し、そこで絵画など美術品を扱うようになったのです」

─創業するきっかけは
「絵画など美術品を扱っているとき『より多くの人にアートを身近に感じてもらいたい』と考えるようになりました。営業は自分の天職では、という思いがつのり、独立を決意しました」

─販売する絵の価値はどうやって決めるのですか
「現存作家の場合は定価が決まっているので、定価に基づいて取り引きしています。物故作家、例えばピカソやシャガールの場合は、買われたお客様が、売りたいと考えた場合70％以上で買い取れる事を想定して販売価格を設定しています。中には購入後買い取り価格が１・５倍、２倍になるケースもあります。販売価格を高く設定すると、買い取りの際、お客様に納得して頂けないと思います。また、物故作家の場合は必ず鑑定書を付けるよう心がけてています」

─沢山の買い取りをされているようですが
「通常、画商の場合、買い取った絵は業者間での取り引きがメインになりますが、私どもは小売りができる販売網・店舗を持っていますから、比較的高く買い取ることができるのです。そういったことがあって、沢山の問合せが来るようになりました」

─マンションや一戸建て、事務所の応接室に飾る場合、どんな絵を選んだらいいでしょうか
「マンションの場合は、玄関にはお手軽なもの、洋室にはヨーロッパ絵画がいいと思います。一戸建ては部屋に合わせ洋室は洋画、日本間の場合は日本画の作品をお勧めします。事務所の応接室などに飾る際は、１年で減価償却できる金額の作品、有名な作家のリトグラフあたりがいいと思います」

─希望する作家の絵を探すことはできますか
「数億までの作品だったら可能です。希望して探すとどうしても高くなりますが」

─もし購入したい絵の額が部屋に合わない場合、変えることはできますか
「お客様の要望通り、部屋に合った額に入れ替えます」

─お祝いに贈る場合、どんな絵を選べばいいですか
「名前の通っている作家の風景画や、静物の場合は、花をモチーフにした絵がいいですね、それと抽象画がいいと思います。人物画はどうしても好き嫌いがありますから、避けた方がいいかもしれないですね」

─展示会の開催予定は
「福山営業所は月に２回程度、洋画、日本画、現代アートの作品を入れ替えようと考えています。福山地区では経済リポートビル１階にあるギャラリー『アイリー』で年に３回程度の展示会を開く予定です。本社がある高松では年に２回、ホテル催事で国内外の巨匠作家を集めた展示会を開催しています。」

─野球で活躍されたこともあり、スポーツ振興のためのボランティアをお考えだそうですが
「高松では、オープン以来、毎年野球教室を開催しています。今年は福山地区でも、カープの選手を招いて開催を予定しています。ハンドボール選手の育成・支援の一助になればと思い、公益財団法人『日本ハンドボール協会』のオフィシャルスポンサーの契約をしました。今後も、福山、岡山、高松地区でスポーツ振興のための活動を続けたいと考えています」

プロフィール
▽１９６６年４月27日生まれ・玉野市出身。84年岡山東商業高校卒。同年三菱自動車工業㈱水島製作所入社・硬式野球部所属。86年社会人野球日本選手権出場。90年㈱天満屋入社外商部配属・軟式野球部所属。93年東四国国体出場ベスト４。94年天皇杯準優勝。２０１７年イノウエ商会創業。18年㈱イノウエ商会設立。