ナノグラフィカ㈱
社長 岸本圭司さん
最先端技術を用いた映像表現

2024年02月20日号

世界観を物語で伝える面白さ
きしもとけいじ(54)

同社はゲームエンジンなど最新のテクノロジーを使った3DCG映像制作やプロジェクションマッピング(以下P.M.)の制作、企画等を手掛け、クラブミュージック映像やスタジアム級フェス映像、世界遺産マッピングの舞台制作などに実績がある。ハリウッドでも活用されているという高品質なバーチャル合成撮影スタジオを備えており、昨年はAdobeのコラボ企画「ULTRA JAPAN 2023 VJ VIDEO CREATION CONTEST」に映像作品を出品し、準グランプリを受賞。公式FBで取り上げられるなど、高い評価を受けた。

―これまで手掛けた事業について教えてください

「イオンモール岡山のハレマチガーデンの壁面を使ったP.M.や世界遺産沖縄中城城壁跡P.M.を制作しました。昨年は、山口県宇部市の琴崎八幡宮で9月末から年末までの約4カ月間、本殿に映像を投影するP.M.を手掛け、毎日3回公演を夜間に行い(各回30分)、延べ数万人規模の来観者で大盛況でした。その他にも石見神楽との共演など、お城や神社仏閣で行う映像演出が好きですね。浮世絵など和の題材を好んで作品に取り入れています」

―制作する作品のテーマは

「会社のビジョンとして、意味のあるメッセージを映像で伝えていきたいですね。近くにある神社に祀られる吉備津彦命が桃太郎のモデルと言われています。地元に縁のある桃太郎や、なぜか惹かれる義経の物語に魅力を感じ、探究しています。青年が立ち上がり、社会に出ていくという日本的なヒーローストーリーの作品を通して世界観を伝え、多くの人に感動を届けたい。観た人が過去を振り返り、過ちを犯さないような生き方ができるメッセージになれば。戦争や自然災害の多発する世界の情勢の中で、分け合うことの大切さを伝える必要がある現代ではないかと感じて取り組んでいます」

―注力されていることは

「XR(Extended Reality)もしくはクロスリアリティとも言いますが、これはVRやARなど様々な仮想空間技術の総称です。そうしたあらゆる仮想空間技術と『現実』とを違和感なく融合し、これまでにない新たな現実を創る技術のことです。映画の制作にも使われる高度な技術です。ゲームエンジンを使って映像を作ると、作り上げたデジタル映像の中にリアル画像を組み込むことができ、メタバースなどに活用されるようになりました。合成で精度の高い映像が制作できるため、海外ロケや大道具などは必要なく、コストを低くできるメリットがあります。合成ビジュアルライブやHPのコンテンツ制作などが可能です。P.M.や映像コンテストにもこの技術を活用した作品を制作しています。映像作品は会社HPでご覧ください」

―今後の展望は

「岡山を拠点にXRなどの技術を活用する映像制作会社として、認知度を高め、社員を増やし、さらに事業を展開してまいります」

プロジェクションマッピングされた琴崎八幡宮

▷ナノグラフィカ㈱=岡山市北区一宮860─2、電086・280・2331、https://www.nanographica.net/

▷岸本圭司=1969年岡山市生まれ。松山大学経済学部を卒業後、92年─2018年、トマト銀行に勤務。12年にイギリスのアートコンペEWAA LONDON映像アニメーション部門で優勝。19年に映像作家・演出家vj nanographicaとして独立し、23年に法人化した。