エンジョイファーム
社長 永井泉治さん
3年で黒字化に成功

2018年06月01日号

観光地化で収益増に 

㈱エンジョイファーム  社長〔矢掛町〕

㈱エイト日本技術開発 

取締役常務執行役員事業推進本部長

社長 ながいせんじさん(62)

 東証二部上場のE・Jホールディングス㈱(岡山市北区、小谷裕司社長、資本金20億円)傘下で建設コンサルタント業の㈱エイト日本技術開発(岡山市北区、同社長)が矢掛町から指定管理で運営する「水車の里フルーツトピア」はカフェ施設を導入するなど機能性を上げた。指定管理のため設立した㈱エンジョイファーム(永井泉治社長)で運営。制度導入までは赤字経営だったが、エンジョイファーム社が運営を開始し3年目には観光地化に成功し黒字化。18年4月から5年間の指定管理契約を更新しており、今後の事業戦略などを永井社長に聞いた。

―矢掛町が運営していた頃は農業技術の研鑽が目的だったがエンジョイファームが観光地化に成功しました

「イチゴや梨、ブドウ刈りの観光農園事業を柱に、ピザやうどん作り、バーベキュー施設など体験型の商材を盛り込んだ。今年4月には国と矢掛町の計1億2千万円規模の補助でボルダリング施設や水耕栽培のイチゴハウス、カフェなどを整備。体験型消費が伸びるなか、水耕栽培のイチゴハウスは車椅子でも利用でき、合わせてアスレチック設備などでファミリー層の集客を上げ来場者も2割増えた。若い人の農業体験などをコンセプトに、より集客が期待できる施設になった」

―施設は建設コンサル大手のエイト日本技術開発が指定管理で運営しています

「建設コンサルタント業を国内外で展開し、中山間地の行政機関の課題解決の事例として取り組んだ。指定管理で収益を上げれば町の財源も上がり、集客力のある施設にすることで町の賑わいにもつながる。雇用確保や特産品を通じ矢掛町の認知度を上げるといった趣旨を重視している」

―エンジョイファームは農産物販売を主軸とし、水車の里フルーツトピアと直売所などで販売しています

「エンジョイファームの年商は5900万円規模で水車の里フルーツトピアでの販売が2700万円規模。直売所が1800万円規模。水車の里フルーツトピアで毎月イベントを開催する販促手法や体験型消費の伸びの中で集客が順調なことで直売所の売上げを上回っている。体験型消費が伸びる中、第三セクターのやかげ宿と連携したツアーも企画段階だ」

―指定管理が更新され、次の5年間の事業について

「指定管理者として矢掛での農業体験や農産物の販売促進で地域の魅力を発信したい。また農業従事者育成の場の機能を上げ、農業の活性化の一助にもなればと思う」

▽水車の里フルーツトピア=小田郡矢掛町東三成3974―20、電0866・83・3423。

▽永井泉治=1955年11月、福山市沼隈町出身。盈進高校、東京農業大学農業工学科卒業。80年、エイト日本技術開発入社。事業推進本部事業推進企画部長、執行役員インフラ保全センター長を経て、取締役常務執行役員事業推進本部長に就任。12年8月からエンジョイファーム社長。座右の銘は「晴耕雨読」。趣味はゴルフ、読書。山口大学大学院理工学研究科の非常勤講師も務める。岡山市北区在住。