瀬戸内醸造所
自社ワイナリーが初稼働
竹原産のブドウを仕込む

2021年09月01日号

レストランmio(左)とワイナリー(右)

「SETOUCHIを旅するワイン、SETOUCHIを旅するワイナリー。」をコンセプトに瀬戸内醸造所㈱(竹原市、太田祐也社長)が運営する自社ワイナリー(三原市須波西1―5―26、電050・3749・9902)が初稼働し、竹原産のブドウ「キャンベル・アーリー」約700㎏の仕込みを8月20日に行った。これを皮切りに、今年度は6品種のワインを仕込む予定。

地方創生プロジェクト

竹原の生食用ブドウ栽培の歴史は長く、およそ150年前に塩田や干拓地の跡地利用で始まったという。キャンベルは酸味が強く、主に仏壇の供え物として出回っている。お盆を過ぎると需要が大幅に減るため、地元の農業支援になれば―とワインの原料として買い取っている。

同社は2019年に創設。石川県のハイディワイナリーに醸造を委託し、三原のニューべリーAや神戸のシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルローを使ったワインや庄原のリンゴを使ったシードルなど、地域特産の果実をワインにしてきた。

自社ワイナリー

今後は産地を〝旅するワイナリー〞として、瀬戸内海に隣接する県の果実を使った酒を自社ワイナリーで造っていくという。また、こうした取り組みを直接伝えたいと、「醸造ツアー」(1100円)を予約制で行っている。ワイン1杯の試飲が付き、30分程度のワイナリー見学ができる。詳細は同社HPで。

太田社長(37)=写真下=は「自社ワイナリーが稼働し、ようやくここまで来たという思いがひとしおです。大切なものを次世代へ継承していくことを目的に、〝食〞と〝一次産業〞を結び付け、お客様に喜んでいただくことで生産者や地域が喜ぶ、そんな地方創生に取り組んでいます。いずれは、このプロジェクトを世界中に伝え、瀬戸内の良さを知ってもらえれば」と話している。

ユニークなメニュー

 今年4月末にオープンしたワイナリー併設のレストラン「mio」では、地元の旬の食材を使ったワインに合うコース料理を予約制で提供している。ランチ(5500円)とディナー(1万1000円〜)があり、ワインと同じ産地の食材を一緒に味わう〝ペアリング〞が楽しめる。8月27日から秋メニューがスタート。前菜「季節8寸盛り」にゴーヤやビーツを使用、メインは肉か魚を選べ、締めには醤油味か塩味かを選べる自家製ラーメンが登場するユニークな構成となっている