ヒロボー
AIを活用した検査装置を開発
人員削減や検査時間短縮に成功

2025年04月01日号

「人手不足の企業を支援したい」

無線操縦模型や産業用無人ヘリコプター、樹脂成形品の製造・販売を営むヒロボー㈱(府中市桜が丘3─3─1、松坂晃太郎社長、電0847・41・6780)はこのほど、AIを活用して製品の外観検査を行う装置「AI検査くん」を開発=写真上。AI搭載型カメラと成形サイクルに合わせて検査を行える工夫により、大幅な人員削減や検査時間の短縮に成功した。今後、同システムをカスタマイズした画像認識装置の販売なども視野に入れていくという。

受注した樹脂製部品について、従来は5―6人がかりで600時間以上かかっていた作業(6―7秒/個)を、射出成形機が製造する2秒/個にまで短縮できないかという課題に対し、同社生産技術部(岩田章寛部長)がチームで取り組んだ。約半年間の開発検討会議を経て、回転テーブルと機械式チャックを組み合わせるアイデアで、製品を把持したままの搬送・検査を考案=写真下。掴み替えなどの動作のロスを最低限にすることで検査時間が数十時間に短縮され、従来は不可能であった高速化が実現でき、月当たり60万―70万個の検査ができるようになった。

右下2台のカメラで立体的に撮影

同装置は、畳1・5畳分ほどの大きさに収まるため、射出成形機に連結できる。成形機から出された部品を1個ずつ2台のカメラで縦横からチェックし、あらかじめ覚えさせていた良品との違いがある部分にはマークが表示され、除外される。目視検査をする工程を同装置にそのまま置き換えることができることから、岩田部長(39)は「実際に稼働して1カ月以上ですが、目視検査と変わらない信頼性を確保しています。こうした自動検査装置の開発を今後は社外からも受け入れ、人手不足が深刻化している国内外のモノづくり企業を支援していきたい」と話している。見学や相談などは、同社経営本部まで問い合わせる。