㈱大島屋
社長 大島次男さん
伝統を守り続けるための挑戦

2022年12月20日号

イ草の素晴らしさを伝えたい

おおしまつぐお(66)

1948年の創業以来、イ草の栽培から室内用インテリア敷物や小物などの製品製造、販売まで六次産業化に取り組む。野球やゴルフ、テニスのスイング練習マットとして発売したSwing―畳シリーズは好評で、日本選手最多本塁打・三冠王となったヤクルトの村上宗隆選手も使用しているほか、2022年選抜県大会で初優勝したおかやま山陽高校の監督から打撃力が上ったと評価を得ている。

―数多くある商品開発についてお聞かせください

「1300年も前から使われ続けた歴史のあるイ草ですが、生活様式の西洋化により、その需要は減少しております。我が社では、イ草の栽培から製品開発、販売をトータルに手掛け、創業以来守り続けてきた伝統を大切にしながら、時代にマッチした新しいイ草商品の提案を続け、現在、約150種類を超える商品を製造発売しております。これまで、お客様へのアンケートを基に、ペット用の洗えるイ草敷物や畳みベッド、衝撃吸収敷物など多数発売してまいりました。また、若手社員のアイデアを最大限に活かし、将来に繋がるイ草製品の開発に取り組んでいます」

―イ草の特長を教えてください

「イ草の香りにはリラクゼーション効果があります。消臭性もあり、調湿効果、抗菌機能、防音効果も高く、長所はきりがありません。天然素材のため、土に還る性質であることも時代にマッチした素材と言えます。最近、高齢者が室内で転倒し、骨折することが多くなっています。イ草の中には〝わたご〟という綿素材があり、音を吸収し、防音性や弾力性を持っているので、大きなケガに至らないよう、衝撃吸収力に優れた敷物を開発しました。お子様の健康的な発育にも役立つ、自然素材のイ草製品をぜひお勧めしたいと思います」

―「swing―畳」シリーズについてお聞かせください

「かつて王貞治さんが、畳が擦り切れるほど素振りをして一本足打法を完成させたという逸話を元に開発しました。程よく滑りやすい畳の上で練習をすることで、足の指が地面を掴む力をつけ、スイングの基礎となる体幹軸を鍛えスイングスピードが上がるという、畳ならではの性質を利用した『swing―畳シリーズ』です。現在、ゴルフ、野球、テニスの専用マットを発売しています。何層にも重ねた畳表で作り、本畳の5倍の強度を持つことを実証しています。村上選手をはじめヤクルト球団の選手には去年の春頃に導入していただき、本格的に秋から始まる沖縄キャンプから使用していただいています。業界常識から飛び出し、室内利用の商品ではなく、室外でのスポーツ利用に挑戦した製品です。これからも不動心を座右の銘にイ草の製品づくりを全うしてまいります」。

「Swing―畳」の構造

▽㈱大島屋=倉敷市西阿知町852、電086・465・2937、https://ooshima-ya.com/

▽大島次男=1956年3月8日生まれ。関西高等学校卒業後、家業である大島屋に従事。15年間、一貫生産体制の全工程を経験した後、営業に従事。専務取締役を経て平成9年に3代目代表に就任。