福山市民病院
門田一晃外科科長の内視鏡技術
国際腹腔鏡肝臓学会で一位評価
2021年11月01日号
世界内視鏡外科学会も最終選考
福山市民病院(福山市蔵王町5-23-1、高倉範尚事業管理者、喜岡幸央院長、電084・941・5151)の外科科長・門田一晃医師(44)=写真=はこのほど、ニューヨークで開かれた第3回国際腹腔鏡肝臓学会(ILLS)でベストビデオアワードを受賞。世界1位の栄冠に輝いた。11月にスペインのバルセロナで催される第17回世界内視鏡外科学会でも、最終選考に残った7人のうちのひとりに選ばれている。
国際腹腔鏡肝臓学会は、ロボットや腹腔鏡を使った肝切除に関する高度で安全な手術を提供することを目的に構成された、世界的に権威ある学会のひとつ。世界84カ国約1200人の肝臓外科医が参加する大規模な学会で、2年ごとに開催されてきた。
今回はコロナ下でオンラインでの実施となったが、世界各国から8人のファイナリストがそれぞれ動画で約10分間のプレゼンテーションを行って、その手術の精度や理論の新しさを訴えた。審査員達はプレゼン能力なども加味した多角的な評価を行って、門田医師が世界一に相応しい発表をしたと、高く評価された。
門田医師は、肝臓で内視鏡手術を行う場合のメリットをわかりやすく紹介。内視鏡は開腹せずに約1㎝程度の傷を数カ所あけて、その穴から器械を出し入れして手術を行うというもので、出血や痛みなど患者への侵襲が少なく、回復時間も短縮できる。また、腹腔鏡を通して近接映像を見ながら手術を行うので、開腹手術よりも間近から、拡大された視野で行うことができる。そのメリットを活かし、血管の外側を覆っている微細な「膜」を視認しながら、できる限り温存する、精密な手術が行えることを実証して見せた。
門田医師は内視鏡で折り鶴を折る訓練を10年以上前から行うなど常に自己研鑚に努めてきており、これまで450例以上の腹腔鏡下肝切除の執刀に関わって成功させてきた。その6割は高難度手術と言われるもので、年間症例数では全国2位に上るほどだ。
門田医師の話「受賞については、支えてくれた家族に感謝しています。そして手術はチーム医療であり、私個人の力ではこれだけの症例数を行うことはできません。福山市民病院は、医師・看護師・医療技師をはじめとするスタッフが皆優秀で、手術時のサポートはもちろん、何かあった場合のバックアップもすぐに対応できる安心感があります。高倉事業管理者がいつも言われている、都市部と地方間の医療の不均衡・不平等がなく、どこでも同じ水準の医療サービスが受けられるよう、今後とも努力し続けたいと思います」。
門田医師は府中市出身。2003年に東京慈恵会医科大学を卒業後、NTT東日本関東病院研修医に。08年より国立がん研究センター東病院レジデント、11年より国立がん研究センター東病院がん専門修練医、12年より東京大学医学部附属病院、13年より福山市民病院外科へ転任し、現在に至る。