アシードHD
飲料製造事業を強化
ODM営業で収益高める
2022年06月10日号
今期売上は192億8200万円
自販機運営大手のアシードホールディングス㈱(福山市船町7―23、河本大輔社長、電084・923・5552)はコロナ感染拡大に伴う行動自粛でスポーツやレジャーなどの飲料水の需要が減少する中、ODM(相手先ブランドによる設計・製造)での飲料製造を強化する考えだ。売上の6割を占める自動販売機事業でも10月に子会社2社を合併させ、効率化を進める。新型コロナウイルスの終息は見込めないが、飲料製造部門の拡大で収益力を高める。
飲料製造では子会社で飲料製造の宝積飲料㈱(東広島市)の志和工場に新たに350ml、500mlの充填設備を増強しアルコールなどの製造を強化し、ODMでの受注を押し上げる。飲料製造の同業者とのネットワークも強化しており、宝積飲料では2023年春に炭酸ラインの設備も稼働する。
物流面でも昨年10月、物流業のロジックイノベーション㈱(岡山市南区浦安本町)を買収し、倉庫業のアシードロジスティックセンター(栃木県下野市)の運営も担うことでアルコール類製造のアシードブリュー㈱(本社=福山市)宇都宮工場(栃木県)含めたグループ内の物流を効率化した。
また、自社ブランドでは健康志向を背景に、ブランド「プリエ」を立ち上げ、寒天飲料や抗酸化作用の期待できる「グァバ茶」の販売を始めた。
売上の6割を占める自動販売機運営事業では北関東ペプシコーラ販売㈱(群馬県)とアシード㈱(福山市)を合併させ、存続会社の北関東ペプシコーラ販売㈱をアシード㈱に商号変更し、本社所在地を東京都港区に移転する。また、自動販売機500台を運営する㈱いいじま(茨木県つくば市)の買収や佐賀県内の自販機301台の営業権を取得するなどでオペレーションの効率を高めた。
アフターコロナでは、無人店舗の自販機の需要は高まると判断。飲料水以外にも食品・物販といった販売品目を増やし、次世代型物販として新たな自販機モデルの確立を急ぐ。
海外事業では、株式投資を進めるベトナムのハロンビールで缶ビールの設備を増強し、コロナ下で樽入りビールの売上が低迷する中、増収となった。今期はビールや清涼飲料水をベトナム国内だけでなく、シンガポールなどASEAN諸国向けに販売を加速化する。
今期は会計基準の変更で前期との比較はできないが、飲料水の需要が減少し、売上高は192億8200万円。経常利益は大手ブランドメーカーからのOEM(相手先ブランド)やODMが伸長するなど飲料製造事業が好調なこともあり、過去最高の9億300万円を記録した。23年3月期は自販機運営での販売量増加は見込めず、飲料製造でも資材含めた原材料高、燃料費の高騰などの不安要素がある中、ODM営業の強化と、安定・効率的な生産体制を掲げ、売上高200億円、経常利益は9億2千万円を予想する。
また、25年3月期を着地点とする3ヵ年の中期経営計画では売上高約300億円、経常利益15億円を目標にしている。