BISTEC
変化に即応できる地域人材育成
毎年夏休みロボット教室を開講

2022年09月10日号

失敗からものづくり楽しさ学ぶ

左から森下社長、同3番目が羽森社長、4番目が藤代社長

備後地方を中心に半導体や液晶関連、精密微細加工用の工作装置を製造する企業などでつくるBISTEC(備後半導体技術推進連合会)は1993年にスタートし、時代の変化に即応できる地域の人材育成や最先端技術の底上げを目指している。

その事業の一環として7月30日、福山職業能力開発短期大学校(福山市北本庄)で中学生を対象に「楽しい電子工作教室 夏休みロボット教室―ロボットをプログラミングしてコースを走らせてみよう!―」を開催。今年で30回目となった同教室には定員(15人)を大幅に上回る希望者が集まり、急遽8月20日にも追加で教室を開いた。

半導体やFPD(フラットパネルディスプレイ)、ライフサイエンス関連装置など、自動化装置の開発設計・製造・販売を営むローツェ㈱(福山市神辺町道上1588―2、藤代祥之社長)が91年に始めた「ローツェ登山の会」が前身で、プラズマ発生用高周波電源大手の㈱アドテックプラズマテクノロジー(同市引野町5―6―10、森下秀法社長)とともにBISTECを発足。非接触電気検査装置の企画・製造・販売で世界トップシェアを誇るオー・エイチ・ティー㈱(=OHT、同市神辺町西中条1118-1、羽森寛社長)が事務局を務め、協力してきた。各社ともこの30年で社長は交代し、当初鉱石ラジオだった製作物がロボットに様変わりしているが、理念はそのまま受け継がれている。

ロボットは、縦13㎝、横約11㎝の分銅型のボードの上に電池と電子基板、下部にセンサーと車輪をつけ、新学習指導要領で必修化された小学校でのプログラミング教育で使われるScratchに似たビジュアルプログラミングツールで動作の制御を行う。センサーで拾う情報を元に、前進や右左折の速度や角度などを細やかに設定できる。教室では講師がパソコンモニターを通して説明し、それを見ながら子ども達は隣に置いたパソコンでプログラミングを行った。設定を済ませたら、早速コースに置いて走行実験を行い、上手くいかなかったところはサポート役の各社社員と相談しつつ、検証してプログラムの書き換えや数値の調整など細やかに行った。ほぼ1日がかりで、子ども達は個性的なロボットをほぼ完成させた。

3社社員が個別対応する

藤代社長(42)は「ものづくりの楽しさを味わって貰いながら、基板の上の半導体などの小さな部品が物を動かしている不思議さを〝すごい!〟と思って貰いたい」、羽森社長(45)も「失敗を繰り返しながら、指示通りに動かない原因を探り、善後策を選んでいく過程が最も重要。そこにものづくりの本当の楽しさがあります」、森下社長(50)は「海外では目標は早めに決めて自分磨きに取りかかっている。皆も早くから可能性を見つけ、技術者として、備後地区の活性化を支える人材になって欲しい」とそれぞれ話す。日々進化し続ける技術に対応できる〝ものづくり人材の種〟を蒔いているようなものであり、時代を変えていく人材がこの中から生まれてくれれば、と期待を込め、教室はこれからも続けていくという。