日進ゴム
滑らないゴム靴HyperV®製造
加琉式でデニムスニーカー開発

2022年11月20日号

最先端技術ロボットアームにも

滑らないゴム靴HyperV®(ハイパーブイ)や地下足袋「自力」をはじめ、建築・工業・医療用ゴム製品などを製造販売する日進ゴム㈱(岡山市北区今八丁目16─17、渡邉育正社長、電086・243・2456、http://www.nisshinrubber.co.jp/)はこのほど、ECサイト「児島ジーンズ」(https://eshop.kojima-genes.com/)などを運営する㈱フック(倉敷市)と共同で、ソールにハイパーV®を用いた商品を開発。「ケブラーデニムハイカットスニーカーハイパーV®ソール」(税込1万9800円)を売り出した=写真上手前。

強靱な化学繊維ケプラーをコットンに織り込んだデニム生地をアッパーに用い、濡れた路面やマンホールの上でも滑りにくいハイパーV®と組み合わせバルカナイズ製法で作られた。

バルカナイズ(加琉)製法は、職人が手技で圧力をかけてゴム底とアッパーと圧着させ、さらに時間をかけて蒸気で加熱・加圧して作る。美しいシルエットと高い耐久性が特長だが、手間がかかるため高価になり、増産しにくい。だがフック社との協業を、長年勤めてきたベテラン職人から肌感覚で技術継承するための事業として捉え、今後も増産していく予定だという。

日進ゴムは90年前、欧米向け輸出用布靴を製造する日進ゴム工業所として創業。1943年から法人化して地下足袋を作り始めた。戦後はゴム長靴やカジュアルシューズなどを手掛ける中、「転倒事故を防ぎたい」との思いから様々な試作を繰り返して、独自のゴム素材とV字型のデザイン=写真上奥=を重ねたハイパーV®を発案(特許取得済み)。グリップ力は通常のラバーの2・5倍を上回り、ワークシューズや厨房シューズ、スニーカーなどに搭載され、更に近年は釣りや各種スポーツ、介護分野、産業用資材でも応用され使われている。その後、雪道や冷凍床でも滑らないようにする「HyperV®スタッドレスソール」=写真下=や粉物が多い作業場での転倒防止に役立つ「HyperV®粉」なども開発した。

また、同ゴムの高機能性に注目した㈱人機一体(滋賀県)は、JR西日本、日本信号と共同で開発している多機能鉄道重機の試作機である零式人機(https://youtu.be/e0FunkFQtD8)のアームのグリップ部分(https://youtu.be/6M2Uv4tKj5w)に採用した。高所作業など、危険を伴う鉄道工事などで活用する上半身人型ロボットで、2024年から実用化される予定。

営業企画部の渡邉喜朗部長(38)の話「バルカナイズという古い技術と、ロボットアームという最新技術の両方で使われているのは、時代を超えて必要とされる技術で誇らしい。今後はこの技術を医療介護といった現代特に必要とされる現場で活かせられるよう商品開発を進めていきたい」。