福山市
世界バラ会議まであと2年
福山市全体で盛り上げたい

2023年03月01日号

2018年デンマーク大会での宇田貴美幹事長(右)と枝広直幹福山市長

福山市は、世界40カ国が加盟する「世界バラ会連合(本拠地=英ロンドン)」が開く「世界バラ会議世界大会」第20回大会を2018年に誘致。25年5月18日〔日〕―24日〔土〕に福山市各所で開催する。国内外約700人のバラ愛好家・研究家が来訪するという同会議を通して、福山のブランド力向上、「福山のばら」の新たな価値の創出が期待される。大会本番まであと2年。市民全体で関われることは何か、をリポートする。(高橋真木)

世界バラ会議とは

世界バラ会議世界大会は、50年の歴史を持つバラに関する国際会議。世界40か国が加盟する世界バラ会連合(The World Federation of Rose Societies)の最大の大会で、3年に1度開催する。世界各国からバラの研究家、生産者、愛好家、芸術家など、世界のばら関係者約700人が一堂に会す。世界大会では、毎回バラについての知識の啓発と普及、研究の促進、分類やコンテストの審査基準の提示・標準化などについて、それぞれの課題の解決や目標達成のための方策を議論するとともに、世界のバラ愛好家の相互親善、情報交換の場として機能している。具体的には、各国の代表が世界バラ会連合の目的達成のために討議する各種委員会、最新の情報などの講義、開催国のバラ園の視察などが実施され、各国から参加したバラ関係者の間で交流が深められている。優秀庭園賞も決める重要な場であると同時に、参加者たちが視察・ツアー、交流会などを通して開催地の観光やグルメを楽しむことも醍醐味となっている。

これまでアジアでの開催は大阪大会が唯一で、福山大会は19年ぶり。「Roses for the Future~福山からはじまる、新しい未来~」をテーマに掲げ、「みんなで創る みんなで盛り上げる みんなで輝く」をコンセプトに市や県、国全体を巻き込んだ大会を目指すという。

 

参加者は飲食店を活用
実行委員会は、〔一社〕福山青年会議所、福山ばら会、福山商工会議所、福山祭委員会企画実行委員会らで構成されており、現在大会プログラムなどの検討を進めている。今後プログラムの内容に沿った各種ボランティアを募集する。

また、会期中、参加者は市内の飲食店を利用することを見込んでおり、飲食店には、メニュー表示やハラル対応など、視察した前回大会(豪・アデレード)を参考に、参加者の歓迎を求める。

 

大会ロゴ

ロゴを商品やPRに

福山大会といえば、スタイリッシュな大会ロゴが好評だ。東京都在住のグラフィックデザイナーの増田豊氏がデザインした同ロゴは、さまざまな色の花びらが中心に向かって集結し、一つの「ばら」の花を形作っており、世界の人々が集うことをイメージしている。同ロゴは大会HPで申請すれば新商品などに無料で使用が可能で、社業発展への活用を呼び掛けている。名刺に使用することも可能だ。また、「バラを育てる」「ばらのまち福山をPRする」といった「応援宣言」を募集している。団体・企業にはのぼり旗・個人にはピンバッジもプレゼントされる。詳細は公式HPを参照(「世界バラ会議福山大会」で検索)。

 

3/18にシンポジウム

同大会800日前イベントとして、3月18日〔土〕午後1時に、広島県民文化センターふくやま(福山市東桜町)で「シンポジウム」が開催される。第1部は「世界バラ会議福山大会で変わる!SDGsを意識した花と緑のまちづくり」をテーマに、基調講演やトークセッションを行う。第2部はトークセッション「世界バラ会議福山大会とおもてなしのまちづくり」を行う。

 

アデレード大会の様子①

世界バラ会議推進室の話

「60年以上にわたる市民と行政による『ばらのまちづくり』が世界から認められ福山大会の誘致につながりました。2年後の福山大会に向け、市民、企業、団体の皆様の力を結集して盛り上げて成功につなげたい。そして、『100万本のばらのまち福山』を世界に発信し、『ばら』の未来を切り拓いていきたい」(平林由佳室長)。

 

「ばらのまちづくり」とは

戦争の傷跡が癒えない1950年代半ば、まちの復興に向け懸命に生きる住民の中から「花を植えよう。荒廃したまちに潤いを与え、人々の心に和らぎを取り戻そう」という声が起こり、市民の手で現在の「ばら公園」におよそ1千本のバラ苗が植えられたことから始まり。この動きは多くの人々の心を打ち「花は美しい、それを愛し育む人の心はなお美しい」を合言葉に、市内の至る所に小さなバラ花壇が作られ、市民全員で盛り上げる「福山ばら祭」が開催されるなど、「ばら」を通じた様々なまちづくりが取り組まれてきた。

アデレード大会の様子②

85年には市の花に制定され、「ばら公園」は、2006年5月に「世界バラ会連合優秀庭園賞」を受賞している。
「ばらづくりは優しいまちづくりにつながる」という思いを込めた「ローズマインド」という言葉も誕生し、「ばら」は家庭の庭先から道沿いの小さな花壇、そしてまち全体に根付いた。その成果もあって、2015年に「福山市ばらのまち条例」が制定され、市制施行100周年に当たる16年に「100万本のばらのまち福山」を実現した。

問=世界バラ会議福山大会実行委員会事務局(電084・928・1210)。