趣味彩彩⑧星空に魅せられて
アストロクラブふくやま
会長代行 児玉英夫さん

2023年07月01日号

塾経営の傍ら天体普及活動を
市民観望会を通じて地域に貢献

 児玉さんが会長代行を務める「アストロクラブふくやま(以下・クラブ)」の創設は1989年(平成元)のことだ。当時、広島県で「海と島の博覧会」が開かれ、「みろくの里」(福山市藤江町)に、有名な天文家・藤井旭さんを中心とする「大型望遠鏡キャラバン隊『チロ望遠鏡』」が来ることになったのだが、その際、福山市周辺で活動していたアマチュア天文家が集められ、多くの市民が土星などを観測した。それがきっかけとなりクラブが創設されたのである。児玉さんが天文に興味を持ったきっかけから、塾を経営する傍ら続けてきた、天体普及活動について聞いた。(稲毛一郎)

─天体に興味を持つきっかけになったのは
「小学校6年生の夏休み、学校の先生に校庭で木星や土星を見せてもらって、天体を見るのが好きになりました。完成品の望遠鏡は高価で買えなかったので、中学校2年の時に、口径7㎝の反射鏡を買い、隣のブリキ屋さんで鏡筒を作ってもらい、経緯台の望遠鏡を作り、観望していました」

麻田記念天体観測所

─その後も天体観測を続けたのですか
「中学・高校と観測を続けていましたが、大学卒業後予備校の英語講師になり、天文にはあまり縁のない生活を送っていました」

─何がきっかけで、再び天体観測をするようになったのですか
「1986年に、75年周期で太陽の周りを公転しているハレー彗星が地球に接近する現象が起きて、天文熱が再燃しました。世界的に評価されている望遠鏡メーカー高橋製作所の赤道儀『P2』を購入し、佐藤昌三さん(アストロクラブふくやま初代会長)からビクセンの屈折望遠鏡『FL─102S』(口径10㎝)を譲り受け、再び天体観測にのめり込んだのです。佐藤さんとの出会いがあり、クラブ設立に関わるようになりました」

児玉さんが撮影した天体写真 木星(衛星と影)

─海外遠征を何度もされているようですが
「1991年に、クラブ会員の小川和己さんに誘われ、メキシコへ皆既日食を見に行ったのですが、たちまち『日食病』にかかってしまいしました。皆既日食の時に観測できるダイアモンドリングとコロナ、プロミネンスは感動的で、筆舌に尽くしがたい。1991年メキシコ、95年インド、99年イラン、200

地上と天の川(豪州)

6年リビア、09年北硫黄島近海、12年オーストラリア、17年アメリカと計7回遠征しています」

─天体観測所を建設しているそうですが
「皆既日食を見るため1991年にメキシコに行った際、炭鉱技術者の故・麻田四郎さん夫婦(三原市在住)に偶然出会い、その後、使っておられた口径25㎝の反射望遠鏡と口径15㎝の屈折望遠鏡を、高齢で使えないからとクラブに託されたのです。97年にクラブの有志で『麻

日食とダイアモンドリング

田記念天体観測所』を仙養ケ原(神石高原町)に建設し、託された望遠鏡を設置しました」

─クラブの活動について話して頂けますか
「クラブの目的は『星好きな会員が活動・研修をするとともに、親睦を図り、市民観望会の活動を通して地域に貢献する』ことです。福山市立ふれ愛ランド(福山市赤坂町)や広島県立福山少年自然の家(同市金江町)で、福山市・広島県の要請を受け、小学生を対象とした宿泊研修で天体観望会を行っ

プレアデス星団

たり、福山市神辺町では小学4年生を対象にした天文教室を開き、太陽黒点・プロミネンスの観測を行ったり、様々な活動を実施してきました。2018年の火星の大接近では、福山市教育委員会の後援で、みどり町公園(同市緑町)に10台の望遠鏡を並べ、約300人の市民に火星を見てもらいました」

─最後に塾経営について
「中・高校生を対象とした英語専門の個人塾です。授業はすべて私が担当します。最近教えた生徒の進学校は東大、筑波大、京大、阪大、神戸大、広大、岡大・長崎大・愛媛大・高知医大などの国立医学部、慶応大、早稲田大、同志社大などがあります。大学受験指導40年の実績を生かし、少人数制で1人1人きめ細かい指導をしています」

▽英語学習工房「こだま」=福山市明治町2─12。電084・923・3735
▽アストロクラブふくやま事務局=住所・電話同
▽こだま ひでお=1947年4月11日生まれ(76)。福山市明治町出身。広大附属福山中・高等学校卒、広大教育学部卒。予備校教師、高校教師を経て2001年英語学習工房「こだま」を開設、塾長。アストロクラブふくやま会長代行。