広島県警
ネット被害の相談が増加
サイバー攻撃や誹謗中傷

2023年08月01日号

昨年度は5748件受理

福山東警察署

広島県警察へのネット被害の相談件数が増加傾向だ。企業のホームページを狙ったサイバー攻撃や個人への誹謗中傷での相談が相次いでおり、昨年度は5748件の相談を受理した。県警でも2013年にサイバー犯罪対策課を創設し、対応を急いでいる。備後地区の企業・個人のネット被害の対応策などを福山東警察署(福山市三吉町南2―5―31、中上俊彦署長、電084・927・0110)に聞いた。

ネット社会を迎え、広島県警でもサイバー犯罪の相談受理件数が増加の一途だ。最も多いのが詐欺・悪質商法で、不正アクセス・ウイルスの相談が続く。企業では不正アクセスやウイルス被害が多く、20年には796件だったものが22年には987件と191件増加した。

大手企業のホームページなどをウイルス攻撃した上で作業をさせなくし身代金を要求する「ランサムウエア攻撃」が代表格だが、中小零細企業では、ホームページ上に不正アクセスし、顧客情報を抜き取る「SQLインジェクション攻撃」が大部分という。ホームページ作成ソフト「ワードプレス」を使う場合には被害にあうケースが多く見られるという。

広島県のサイバー犯罪相談の受理状況(広島県警ホームページから)

ネットの誹謗中傷で自殺した女子プロレスラーの木村花さん(1997年9月3日―2020年5月23日)の事件以来、ネットでの誹謗中傷での被害受理も進んでいる。匿名性のあるSNS上で「アホ」「バカ」などの趣旨の投稿は、名誉棄損や侮辱罪の罪名が付き、名誉棄損なら1年以下の懲役か30万円以下の罰金が、侮辱罪なら3年以下の懲役か50万円以下の罰金が科される。木村花さんの事件後の22年7月の法改正で最大30日間の拘束と1万円以下の過料の「拘留過料」から厳罰化された。

福山東警察署では、誹謗中傷の被害にあったと思ったら、一人で悩まずにすぐに相談することを勧める。また企業のサイバー攻撃対策ではOSやソフト、サーバーを最新のものに更新することが対策とする。企業へのサイバー攻撃でも業務妨害や電子計算機損壊などで5年以下の懲役か100万円以下の罰金が科される。一方では、事業者もマナーの悪い客をSNS上で誹謗中傷すれば、侮辱罪として被害届を出されることもあるという。

福山東警察署の三戸田伸幸副署長は「気になったらすぐに相談して」と訴えた。