広島県東部・岡山県の企業8社
農商工連携を目指すチーム渡邊
伊勢神宮内宮へ自慢の逸品奉納

2025年11月01日号

奉納企業全50社の代表集合

広島県東部・岡山県の企業8社(㈱ハローズ・アイデアル㈱・キムチ美人本舗㈱・イトク食品㈱・㈱トワメイト・徳永製菓㈱・㈱島ごころ・尾道中華そばすみだ)は10月16日、〝農商工連携を目指すチーム渡邊〟「伊勢神宮奉納プロジェクト」に参加。伊勢神宮・内宮(皇大神宮)の「神嘗祭(かんなめさい)」に合わせて正式参拝を行い、各社自慢の逸品を奉納した。

神嘗祭は、その年に収穫された新穀を天照大御神に捧げて感謝する、同社で最も重要な祭で、内宮では毎年10月16日と17日に斎行されている。

同プロジェクトは、元福山市立大学教授で現三重大学名誉教授の渡邊明さん(79)が2008年に、地元産の畔蛸岩ガキの奉納を仲介したことからスタートした。

ハローズセレクションを奉納

日本の最高神である天照大御神を祀る内宮への奉納には厳然としたルールがあるが、式典当日に内宮へ奉納することで、地域から献上された献饌(けんせん)のひとつとして各社自慢の商品を直接捧げる栄誉に浴することができる。

厳かな神域の中での正式な奉納は、参列した社員のモチベーションが向上するほか、参加企業トップ同士の交流や、県を超えて横展開で新たな事業が生まれることなども多くみられており、国内産業の活性化になればと渡邊名誉教授が毎年仲立ちを行ってきている。三重・岐阜・愛知の東海3県を中心に、今年は宮城県から福岡県までの15都府県から50の会社・団体・個人など約400人が参列した。

イトク食品は最多9品を奉納

広島・岡山の8社が奉納

広島・岡山県内に本社がある企業8社と奉納品は以下の通り。㈱ハローズ(本社=福山市南蔵王町6—26—7、本部=岡山県早島町早島3270—1、佐藤利行社長、電086・483・1011)=ハローズセレクションの「りぼんかりんとう」、「芋けんぴ」、「むき甘栗」、専売品の「さつまいも甘納糖」

尾道中華そばすみだは3年ぶり

▽アイデアル㈱(福山市引野町4―1―8、徳永明彦社長、電084・961・3339)=昨年(24年)度奉納のダイジェスト動画を収めたDVD(ケースは檜製で、内側にビジョンプロジェクターの田中美紀さんが桃太郎のイラストを描き込んでいる)

▽キムチ美人本舗㈱(福山市曙町5—3—12、山本聖貴社長、電084・981・5666)=備後の味に合わせ食べやすく甘めに仕上げた〝氷点下熟成〟の、「盛たにキムチ」(福山市三吉町のうどん店「盛たに」で使用)と「甘口キムチ」▽イトク食品㈱(尾道市木ノ庄町木門田491、小倉一洋社長、電0848・48・1650)=主力商品の「蒸し生姜湯」「六漢生姜湯」「純辛蒸し生姜湯」「蒸し生姜湯『極』」「クラフトジンジャーシロップ」「クラフトジンジャーコーラ」「クラフトジンジャーチャイ」「国産 蒸した生姜の粉末」「有機 蒸した生姜の粉末」など9点

徳永製菓は人気の竹炭豆

▽㈱トワメイト(尾道市東尾道6—9、中原達雄社長、電090・9064・4718)=テンペ菌を使った大豆発酵食品「大豆テンペ」と発酵珈琲「トワメイトコーヒー」▽徳永製菓㈱(福山市胡町4-21、上迫豊社長、電084・922・2710)=国内産の希少な白炭を使用した、同店一番人気の「竹炭豆」▽㈱島ごころ(尾道市瀬戸田町沢209―32、奥本隆三社長、電0845・27・0353)=瀬戸田産レモンをふんだんに使用した看板商品「瀬戸田レモンケーキ島ごころ」

アイデアルはダイジェスト動画

▽尾道中華そばすみだ(福山市柳津町1―7―60、住田政臣代表、電090・4808・8856)=尾道ラーメンのルーツといわれる100年前の中華そばを継承した「尾道中華そば」と、醤油好き向けにアレンジした「尾道ブラック」。

ケースの内側には田中さんの絵

初参加企業3社の感想

今回、初参加のトワメイト・中原社長は「厳かな雰囲気の中、改まった気分になりました。現在、発酵食品について興味を持たれた海外からの引き合いなども多くなっており、この奉納を機にご縁が広がっていけば嬉しいです」、

トワメイトは大豆の発酵食品を奉納

徳永製菓・上迫社長は「近鉄伊勢市駅から伊勢神宮・外宮へ向かう商店街内に2013年、㈱伊勢豆徳を立ち上げました。以来、伊勢神宮のご縁をいただいてまいりましたが、今日の内宮への正式奉納で気持ちも引き締まりましたし、ブランド力としても面白いと思います。また伊勢にもたびたび来ようと思います」、

キムチ美人本舗は今年で11回目の奉納

島ごころ・奥本社長は「まず、ご縁を繋いでいただいたイトク食品の小倉社長に感謝を申し上げたい。ご神域の中で、日本人としてのアイデンティティを再認識させていただきました。銀座への出店もご縁から始まったものであり、様々なご縁に感謝するとともに、今後の発展の弾みにしていきたい」と、それぞれ感想を述べた。

悠久の時から学ぶゆとり

ハローズは来年高知へも出店予定

渡邊名誉教授はこれまで中部経済産業局地域産業資源活用事業評価委員会や三重ブランド選定委員会の委員長などを歴任。福山市立大学では、備後地域と東海地方とを農商工連携で結ぶ素材発掘と商品開発を進めていた。現在は三重大学工学研究科リサーチフェローとして活動している。

島ごころは11/21〔金〕に銀座へ出店

「コロナ禍以降、どの企業もDX推進で効率化を目指していますが、悠久の歴史を紡いできた玉砂利の上を黙々と歩きながら、神様や自分自身と対話する機会を得て、さらに、同じ思いの全国の経営者と交流を深めあうことで、本当の意味の〝ゆとり〟の大切さが思い起こされたのでは。その〝遊び〟からこそ、新しいアイデアやコラボも生まれやすくなります。来年は逆エージシュートとなる80社以上の参加を目指します」と話していた。

奉納後は正殿で御垣内参拝へ

先頭を歩く渡邊名誉教授