人材活用のノウハウ生かし

広島県東部、岡山県をエリアに、総合求人サービスを提供してきた山陽テクノサービス（サンテク）が３月、正社員の求人に本格的に乗り出した。これまで契約社員やアルバイト、パートなどの派遣雇用に軸足を置いていたが、正社員求人事業に注力する。松野健太ＣＯＯ（最高執行責任者）に聞いた。　（稲毛一郎）

―サンテクは、人材派遣の会社というイメージがありますが、なぜ、正社員雇用に力を入れるのですか
「以前から求職者の方は、社会的なステータスのある正社員に就きたいという要望がありました。さらに、労働者派遣法の改正を機に、正社員を目指したいという声が以前と比べてはるかに高まっているのが実情です。派遣に頼りすぎた企業体質を転換したい、多くの企業で雇用側の意識の変化を感じます。誰にとっても派遣は決して悪いスタイルではありません、しかし、ビジネスの現場では雇用意識は確実に正社員に向かっています。企業と求職者から共にニーズがあると感じたから、軸足を派遣から少し正社員の方に向けることにしました」

―人材派遣のノウハウを、企業が正社員を採用する際に生かすということですか
「人材派遣会社は人材活用のプロフェッショナルであり、採用のノウハウを蓄積したスペシャリストでもあります。多くの企業に私たちの能力を活用していただきたいと思っています」

―企業の正社員募集に便宜をはかると同時に、求職者に情報提供するサイトを立ち上げたそうですね
「『正社員×正社員』という新サイトを立ち上げました。求職者からは正社員の希望が多く寄せられており、派遣を受け入れている企業からも正社員の求人が増えています。新サイトは、派遣業務などで当社が培ったノウハウを投入して、正社員雇用の分野で、企業と求職者の橋渡しが円滑にできるように工夫しています」

―新サイトの具体的な内容を教えていただけますか
「求人方法として①サンテク経由で企業を紹介するもの②求職者が直接求人先の企業に応募できるもの③正社員登用が前提になる『紹介予定派遣』の３種を準備しています」
―求職者と企業のマッチングについては考慮されていますか
「業界の中の一部の会社の事ですが、求職者が望んでもいないのに職場に無理やり押し込め、取引先企業に対して実績をあげていくといった不当なマッチングをするケースがあります。これでは、目先の利益が得られたとしても、人材会社の社会的な信用を失墜させ、求職者に対して不誠実になります。当社では十分なカウンセリングを行い、最適なマッチングを実現するようにしています。利益よりも、目の前の求職者と取引先の利益を考え、地道な努力を続けています」

―新サイトは企業と求職者の架け橋ということですね
「地元密着型で中途採用を中心とした正社員求人専門サイトは全国的にも珍しく、新しい試みと言えるでしょう。これから雇用の在り方が変わっていく中で求職者と企業のマッチングは大きな課題になります。多くの企業に利用していただくために掲載料を安価に設定しています。新サイト『正社員×正社員』を求職者の方、企業の方双方に活用していただきたいと思います」

▽㈱山陽テクノサービス＝福山市南蔵王町４―17―43、河田庄二ＣＥＯ、松野健太ＣＯＯ、電０８４・９２６・１４５１。事業所＝倉敷、岡山。お仕事相談所＝神辺、井原、里庄、総社、東備。