BINGO Visionary Leaders
備後圏の学生に国際力を
英語力と生き抜く力向上の取組

2021年05月01日号

 国際化や情報化が急速に進み、社会状況が目まぐるしく変化している今、私たちに求められる力とは何か。任意団体「BINGO Visionary Leaders」(=備後ビジョナリーリーダーズ)」(梶原亜紀代表)は「第1回英語プレゼンテーションコンテスト」を催した=写真。地元のVisionary Leader ※注1 を学生がインタビューし、どんなことを感じたか英語でプレゼンする取組を取材した。(岩田典子)

コンテストの経緯

 梶原亜紀代表は大学生の時に3週間渡米し、当時日本で学んできた受験英語や英検が役立たないと痛感した。大卒後に渡英し、ウェールズ大学スウォンジー校大学院の修士課程を修了。帰国後は、建築設計事務所、大学機関、大手英会話教室、アメリカ人社長アシスタント、学習塾経営などを経て、2011年に英会話教室「チアーズイングリッシュ」を設立した。受講生の成長を第一に考えたファシリテーションやコーチングなどに精通しており、20年にはグロービズ経営大学院で英語MBA(経営学修士)も取得した。

 その代表が、英語学習者に実践の場を設け、英語のコミュニケーション力を高め、備後圏域における活力や国際化への対応力向上を狙うのを目的に「BINGO Visionary Leaders」(https://bingovisionaryleaders.jimdofree.com/)を立ち上げた。そして同実行委員会主催、福山市教育委員会後援の「第1回英語プレゼンテーションコンテスト」を催した。

コンテストの概要

 備後圏域の中高校生や専門学校生、大学生を対象に公募したところ、18人が参加。昨年11月にキックオフミーティングを行い、リーダーへの取材バスツアーやインタビュー、サポートミーティングを行った。4月4日に福山駅前シネマモードで行われたゴールとなるコンテストは、一次審査を通過した4人の学生がプレゼンをし、最終審査発表と外国人を交えた英語だけの交流会も100人規模で催された。

 学生の参加費は1人1千円。㈱ププレひまわり、ニュースイ商事㈱、㈱虎屋本舗の協賛と、大畑拓也社会保険労務士事務所、㈱緒方塗装、高橋ゼミ、チアーズイングリッシュ、模様建築設計室の協力を得て運営。8人の実行委員会メンバーや多くのボランティアたちも関わった。審査員は、前田吉広さん(福山大学大学教育センター講師)、アラセリ・ポルティージョさん(日本語・英語・スペイン語講師)、小林欣史さん(福山市教育委員会事務局学校教育部学びづくり課指導主事)。

協力したビジョナリーリーダーたち

 学生達がグループに分かれて、興味を持ったリーダーを訪問して取材。協力したのは次の5人のビジョナリーリーダーたち※注2。

 「困った! を聞くと即行動。ノンストップ総合プロデューサー」猪原健さん(猪原歯科、NPO法人えがおのまちづくりステッキ)▽「福山をスポーツで活性化!」小林政嗣さん(一般社団法人福山シティクラブ)▽「芦田川、鞆の浦、山野峡…地域にDIVEするSuper Diver」大田祐介さん(福山市議会議員)▽「世代を超えたあったかコミュニティクリエーター」山村武尊さん(㈱プロエイド)▽「〝不可能〟から〝奇跡〟を生む男!」三島進さん(レザースタジオサード)。

取材した学生の体験

 福山市議会の大田祐介議員が代表を務める「山野峡大田ワイナリー」では、生産場を見学し、説明を受けた。山岳会の会長も兼ねている大田議員は、若い頃の話などを通し、子どもたちの社会勉強や極端に少なくなった自然体験が大切なことを説いた。同所には古い日本家屋の生活様式を残した「ゆうすけ山荘」=写真中=があり、五右衛門風呂やかまど、ストーブなど、昔ながらの火を使った生活を体験することができる。

 質問タイムでは、どうしてワイナリーを始めたのか、政治家の仕事内容はどんなものか、また、議員をしながらどうやってワイナリーの運営をするのかなどの質問があった。後日、議会も見学し、多方面で活躍している大田議員の取材を終えた。

今後の展開

 サポートミーティングでは、インタビューで感じた事を整理し、プレゼンで何を書き、どのように構成・発表するかなどを指導した=写真下。

 梶原代表は「英語以上にビジョナリーリーダーから何を学び、学んだことを人生に活かしていけるかが大事。学びの後、行動力を示した参加者が審査で高い評価を受けました」と振り返る。また恥ずかしがらずに英語で話してもらうため、絶対にやるのだという雰囲気づくりは大切だったと話す。

 実行委員会は、一次審査動画では全員がかなり高いクオリティーのプレゼンテーションをしていたと評価し、短期間で英語スピーチのコツをつかみ、カメラの前で自信を持って発表する姿が素晴らしかったと講評した。「英語のプレゼンを人前で行う経験を経て、学生たちは最後までやり遂げる力を付けました。総仕上げの力、詰めの重要性を学んでもらえたのではと思います。今後も英語を話す機会を積極的につくり、コンテストも毎年継続していきます」と梶原代表は語る。

取材を通して

 現代を生きる私たちに求められる力を学生の体験を通して紹介した。この行事の趣旨に賛同した多くの企業や団体、ボランティアが協力し、次世代を担う子どもたちに学習と体験の場を与えた。約5カ月にわたり、学生やボランティアの方々に取材して感じたことは、地域社会が協力して子どもの英語力や国際力を育てることの重要性だ。将来この参加者が備後圏域の国際化をリードしていくことを信じる。

※注1 Visionary Leader(ビジョナリーリーダー)とは、ビジョンを持って新たな価値を創造し、社会に変革を起こす人のこと。
※注2 同実行委の紹介文を参照した。