すし惣
大将 内山敦雄さん
江戸前の真髄と日本料理の技

2024年07月10日号

うちやま あつお(44)

黒鮑スパークリング日本酒企画
福山市昭和町4─26アートイン昭和町1階
電084・983・0866

すし惣は、通信事業の一心グループ傘下㈱一心ファインダイニング(福山市赤坂町1276、上野和成社長)が経営しており、すし惣の「惣」は一心グループ創業者、故・眞田惣行氏の名前にちなんでいる。同店初代大将・石橋達男さんは、北大路魯山人が腕を振るっていた高級料亭「星岡茶寮」の1番弟子に師事。「㐂文寿司」「寿司田」など一流店で修行を重ね2021年10月、大将に就任し腕前を披露した。内山さんは石橋大将から、江戸前寿司の真髄をたたき込まれたという。

─料理人として、最初は日本料理を勉強されたそうですが
「最初に修業した京都の『たん熊』のちに『一休庵』で刺身、煮物、天ぷら、〆ものなど、主に魚を扱う技術を習得しました。石橋大将から伝授された江戸前寿司の仕込みを基本として、お客様に喜んで頂けるよう、京料理・日本料理の手法も取り入れていこうと思っています」

─江戸前寿司はシャリ(酢飯)が命と言われていますが
「シャリは寿司の生命線だと思っています。当店のシャリは、米酢よりも熟成していてまろやかな味わいの赤酢を使っています。粒が立っていてハリがあり、柔らかすぎず硬すぎず、味付けが強すぎず、魚の味わいに馴染むシャリです。備後では、シャリは甘酸っぱい傾向にありますが、江戸前独特の甘さを控えたまろやかな味に整えています」

─江戸前寿司の特色は
「ネタの一つ一つにひと手間をかけ、漬けや火を通すなどして、素材の味を最大限に引き出します。酢の風味とまろやかさがネタの風味を引き出し、美味しく食べて頂けることと思います」

─ネタはどんなものを
「季節や仕入れの状況によって変わってきますが、豊洲(東京都)からコハダ、穴子、マグロ、雲丹などを。地場の瀬戸内からはネブト、スミイカ、アコウ、太刀魚などで、秋になればワタリ蟹が入ってくると思います」

─自慢の逸品は
「煮穴子ですね。焼き穴子と違い、口に入れた瞬間、溶けるような美味しさがあり、甘みが凝縮して、コクが広がると思います」

─キャンペーンを開催しているそうですが
「6月17日から『初夏は黒鮑と ESHIKOTO AWA Extra dryが美味です』を開催しています。梅雨の季節を経て美味しさを増す旬の黒鮑と、福井を代表する酒蔵『黒龍酒造』が醸造しているスパークリング日本酒の組み合わせで、最上級の口福感を味わって頂きたいと思います。季節の逸品5品と握り寿司10貫程度の『華コース』が2万6千円、『月コース』2万2千円です、いずれも前日までのご予約をお願いたします。季節の3品と握り寿司13貫程度の『雪コース』は2万2千円で、当日のご予約可能です」

─最後にひと言
「当店は地元の方のほかに県外のお客様が多いのですが、地元の方に江戸前がどんなものか知って頂くのが私の使命だと思っています」

▷内山敦雄=1979年12月17日、福山市生まれ。98年おかやま山陽高校卒。同年京料理「たん熊」(京都市)勤務。2000年㈱一休庵入社。14年一心ファインダイニング入社、「しゃぶ吉」料理長、鉄板焼き「かねいし」(東京都)勤務、21年「すし惣」店長。24年石橋達男大将から免許皆伝を受け、大将に就任。