ワイドおかやま
点字ブロック発祥の地岡山から
「OKANAIDE」運動を発信
2015年02月01日号
全国の歩道や建物の床面、階段などに設置されている点字ブロックは、今から半世紀前に岡山で発明された。その有用性を地元社会に訴えるための啓蒙活動を市民団体「ワンダーシップ」が行っている。
岡山駅前に昨年「ヒマワリの塔」が立てられた。高さ約5mある黄色い塔の表面には「点字ブロックの上に物を置かないで」「OKANAIDE」と大きく表示されている。市民団体「ワンダーシップ」が地主の協力を得て建設したものだ。
点字ブロックの正式名称は視覚障害者誘導用ブロックという。1965年に一般財団法人安全交通試験研究センターの初代理事長だった三宅精一氏が考案し、岡山県立岡山盲学校近くの原尾島交差点周辺に世界で初めて敷設した。当初はコンクリート製だったがその後磁器や合成ゴム製も登場し、全国の鉄道駅や公共施設にも敷設されるようになった。
もっとも多く使われているのは歩道上で、視覚障害者が一人で外出する際には大いに頼りになるという。しかしその上にはしばしば自転車などが置かれ、視覚障害者がぶつかったり白杖を折るといった事故が日常茶飯事にあることが社会福祉法人日本盲人協会によって報告されている。視覚障害者の頭の中には点字ブロックが地図として記憶されていて、その上に置かれた物にぶつかると立ち往生してしまう。転んで怪我をしたことがトラウマとなって外出しづらくなるケースも多いという。
映画も制作中
2006年に結成された市民団体「ワンダーシップ」は、山本守㈱千里コーポレーション社長、廣野景治広和印刷㈱代表取締役、平林実平林金属㈱社長ら岡山青年会議所(JC)や岡山商工会議所青年部(YEG)のOBが主な構成メンバーだ。岡山盲学校の講師である竹内昌彦氏との出会いによって啓発され点字ブロックの上に物を置かないよう社会に呼びかける活動を行なっている。
「点字ブロックステッカー配り隊!貼り隊!」もメンバーが展開している運動のひとつだ。「点字ブロックの上に物を置かないで」と書かれたステッカーを大量に製作し、全国の知人友人に配って自宅や自社の壁面、自動車、自転車からキープしたボトルまであらゆるところに貼ってもらう。最初は会員が自費で作成していたステッカーだが、運動はフェイスブックなどを通じて全国47都道府県に広がり発行数は20万枚を超えた。現在では大手飲料メーカー・コカ・コーラウエストの協力を得て売上の一部がステッカー制作費に充てられる黄色い自動販売機が岡山市内各所に設置されている。
視覚障害者として東京パラリンピックの卓球金メダリストともなった竹内昌彦氏の伝記映画「拝啓竹内昌彦先生」の制作も進行中だ。寄附によって集めた2千万円を制作費として「ワンダーシップ」のメンバーが監督から出演までをこなす。本編完成前に予告編を作成しyou tube上で公開しているが、再生回数は約1万回に及んでいる。