キャステム
宮古島に農業法人を設立
入社式と硬軟織り交ぜた研修も

2018年05月10日号

島でトマト、神石でイチゴ栽培

 精密機械部品の製造販売を営む㈱キャステム(福山市御幸町中津原1808―1、戸田拓夫社長、電084・955・2221)はこのほど、沖縄県宮古島市平良に農業法人パニパニファームキャステム(木村仁社長)を設立。同所に農場(7120㎡)を開いた。今後はビニルハウス群(560㎡)を建設して=写真上は地鎮祭の様子、右が戸田社長、中が木村社長=トマトの栽培を始めるという。収穫後は同島との共存共栄を図るため、島内のホテルに卸すほかは同島内のみで販売する。
宮古島は沖縄本島から南西に約300㎞、東京から約2千㎞、北緯24― 25度、東経125―126度にあり、大小6つの島(宮古島、池間島、来間島、伊良部島、下地島、大神島)で構成されている。宮古島市の総面積は204㎢、人口約5万5千人。毎年国際的規模のイベント「全日本トライアスロン宮古島大会」やプロ野球のキャンプ、各種スポーツ団体の合宿などが行われている。同社と同島とのつながりは古く、滞空時間のギネス世界記録を持つ戸田社長( 62)が会長を務める折り紙ヒコーキ協会が、10年以上前に大会を催したことがあった。また昨年は、タイや韓国、香港、フィリピン、ベトナムから予選を勝ち抜いた約30人が参加するアジア大会を開いた。社員研修も行っている。
今年は入社式=写真下=を同島で行い、新入社員20人と幹部役員、指導役の社員数人とが4月1―5日、同島で過ごした。農場の植樹や道路整備を行ったほか、トライアスロン用に同社が寄贈した自転車を使って島内オリエンテーションを催し、声出しや自己啓発のための研修も行った。研修指導を行った田村晃宏さん( 41)は「未来に向けて自由な発想と瑞々しい感性が必要なのと同時に、弊社は高温の金属を扱うことから計画性や緊張感も併せ持たなければなりません。リゾート地を楽しむことと同時に課題を正確にこなす厳しさを学び、今後の業務に活かしてほしいと思います」と話していた。
また3年前に同社内で「夢構想発表会」(自分のアイデアを従業員全員の前で発表し、良い事業案は事業化する)が催され、その際従業員の中から農業のアイデアが多数あがったことから農業という異分野の運営の検討を始めたという。他社との差別化を図るため、同社は自動化でつくることが難しい製品をロストワックスやMIMなどの技術で率先して扱ってきたが、それと同じく、農業でも自動化が難しい品種を取り扱うことを考え、手間隙がかかって栽培が難しいとされるイチゴ栽培を目指すことになったという。そこで、農業専属者を1人選任し、昨年3月より1ヵ年計画を立て、尾道市の百島で栽培実習を行ってきた。今夏より神石高原町内で農地(約2300㎡)を賃借し、栽培を始める予定。収穫目標は3t。高級路線の品種を栽培し、社内食堂で出すほか、デパートで高級果実として販売することも視野に入れている。