コラム「ヒゲ館長の告白録」16
ポポロ館長 作田忠司

2015年02月10日号

価値へのこだわりと
新しい発見
 ようやく春の季節が始まろうとしています。この時期、約一年にわたる休筆明けを、新年度からのポポロのご案内をするところからはじめさせていただきましょう。
 皆さんは公立ホールの事業は何を大切にしているとお考えでしょうか。なんといっても集客第一、テレビで知られた出演者を大事にしているとでもお考えでしょうか。こうした考えには、中身こそ大切なのだ、との反論も聞こえてきそうです。「多様な市民ニーズに応える」のが公立施設の役割で、ジャンルの違った様々な公演を予算の範囲で勘案し企画する。それは当たり前ですが、ポポロの場合、それに加え、ちょっとした戦略的なポイントがあります。
 それは<ポポロの価値へのこだわり>と<新しい発見>という二つの視点です。
 皆さんがコンサートに行く場合、何を基準にしているのでしょう。有名人だからあの曲が好きだからというのもありますが、その動機は千差万別です。
 ただご来場すべての方々に共通する体験があります。それは「いま私はポポロにいる」という事実。その点は絶対に裏切ってはいけないと思います。演奏者も曲もわからない。しかしこの公演がポポロで開かれるのならきっと何か新しい発見があるに違いないし、中身も確かだろう。しかもポポロの優れた空間に身を置くことでえもいわれぬ体験が共有できると思っていただける、それが事業立案のポイントになるのです。
 新年度には新鮮な企画をご用意させていただきました。そのひとつが総勢二百人を越える海外オペラ公演(ブルガリア国立歌劇場『トゥーランドット』全曲)。また辻井伸行と優勝を分け合ったピアニストのハオチェン・チャンが好評<新しい音楽の風>シリーズに登場。井上道義指揮大阪フィルハーモニー交響楽団や国立ロシア交響楽団も注目です。五輪真弓も大都市以外では初の地方公演となるようです…。
 新規ポポロクラブ会員も三月から募集します。ポポロでお会いするのを楽しみにしています。