山陽ロード工業㈱
社長 秋田英次さん
現場に即した企画開発型建設業

2023年09月01日号

DXなど最新技術を柔軟に導入

あきたえいじ(49)

橋梁やトンネルなどの構造物メンテナンスを得意とし、現在老朽化が進む橋梁の調査から補修、必要資材の販売・アドバイスなど一括で対応する。全国の高速道路などで採用されている交通遮断機、標識などの製造販売も行い、近年ではDX化を推進し、遠隔で使用材料や現場の監理ができるシステムを開発。橋梁補修工事では、立体映像などを駆使した工事計画・出来形管理手法を導入するなど効率化を図っている。

―様々な事業の中で橋梁に注力されるのは

「橋梁やトンネルなどは、建設からおおよそ40年—50年で大規模なメンテナンスが必要になることから、戦後高度成長期に建設された構造物の補修時代が来ることを見越して、対応する技術や人材育成、社内の仕組みづくりを行ってきました。当初、補修工事を始めた時の売り上げは年間2千万円程度でしたが、現在では、国土強靭化計画の後押しもあり、補修分野の売り上げだけで10—13億円程度になり、経営の柱の一つになりました。11年に発生した東日本大震災の影響もあり、需要は増えています。19年度の国交省が発注した橋梁補修額では、橋梁新聞社調査によると西日本1位の受注金額でした」

―DXも推進されています

「建設業界は、人手不足が最も顕著になっている業界です。自動化できるような作業はDX化や自動化し、限られた人員、限られた時間を本来やらなければならない作業に集中して振り向けられるような仕組みを構築すべきだと思っています。最近は『3Dスキャナ』と呼ばれる三次元測量機器を使用し、レーザー測量による計測データを基にバーチャルな現場状況を再現して、部分測量や作業内容説明などに利用するようにしています。測量の時間が大幅に短縮化されるだけではなく、工事現場の部品の細部に至るまでPCのバーチャル環境内に正確に再現できるようになりました。解析した橋梁は、最終的に3Dモデリング化されますが、そこに新しく3Dで作成した追加補強部品を取り付ける作業工程をお客様にモニターで説明しています=写真。天候の変化や災害の危険のある現場ではなく、室内でゆっくりと作業内容を説明できるようになりましたのでかなりの高評価をいただいております。これらの導入により、現場の負荷もかなり軽減されてきています。例えば、高所など現場の特殊環境が苦手な方や重い測量器具を抱えることが不得意な方でも、老若男女問わず同じような工事管理ができるような作業体制を構築しました。地方の工事会社がここまでやっているのは珍しいのではないかと自負しています」

古い支承を撤去する

―今後の取り組みを

「少子高齢化の中で工事が継続できるよう省人・省力化に努め、DXなど最新技術を工夫してきました。今後は海外からも技術者を多く採用していきたい。柔軟な発想で地方でも技術者が活躍できるよう、今の開発型創造企業スタイルの進化形を目指します」

▽山陽ロード工業㈱=津山市下高倉西1203—1、電0868・22・6218、https://www.sanyou-road.co.jp/

▽秋田英次=1974年、津山市生まれ。96年に東洋大学を卒業後、日本鋼管ライトスチール㈱(現 JFE建材㈱)入社。2000年に山陽ロード工業㈱に入社し、17年より代表取締役社長就任。〔一社〕日本道経会互敬塾副塾長。