韓服工房「春」
韓国の終活の文化
壽衣を広める教室開校

2015年02月01日号

韓国伝統民俗衣装と康代表

韓国伝統民俗衣装と康代表

 韓国伝統民俗衣装製作、韓国古典ブライダルプロデュースの韓服工房「春」(福山市神辺町1304|1、康静春代表、電084・962・3645)は今春、儒教の教えに基づいた韓国の終活の文化「壽衣(すい)」を広めるための教室を開講し、韓国式葬儀のアドバイスも行う。
 代表の康さんは在日韓国人として日本で暮らし、韓国の生活様式を残しつつ、日本の伝統文化に溶け込む暮らしをしてきたが、気がかりだったのは「服装文化を通じて自分のルーツを見つめ直したい」|ということだった。「日本人と在日の人に韓国の服飾と文化を伝え、広めることが、日本と韓国の友好のために役立つのでは」そんな思いに駆られる。
 民俗衣装の専門学校「民俗韓服学園」(ソウル市)に2007年留学、李王朝時代から伝わる宮廷服から、婚礼衣装まで本格的に学ぶ。寝る時間を惜しみ昼夜研修を重ね、2年のカリキュラムを1年で終了する。
 チマ(伝統的なスカート)、チョゴリ(女性の上着)や、チョリ(狩りに行く時に着る服)、トポ(貴族がお客を迎える時に着る服)、チャンオ(女性貴族の外とう)などを、備後地区の在日を中心に広めてきた。
 そんな中葬儀について、日本と韓国の違いに関心を持つようになる。日本の葬儀の場合、故人を送る衣装を「死に装束」と言うが、韓国の場合は「壽衣」という。壽衣は「あの世に旅立つ際の衣装」の意味で、いずれ死を迎える本人と、送る家族を含んだ「終活に対する心構え」も含まれており、考え方は儒教の教えに基づいているという。
 「亡くなった人は、死後先祖に会います。だから、恥ずかしくないように、身なりをきちっとして、できれば、自然素材のオシャレな服で旅立ってほしいと思います。服だけでなく、下着、靴下に至るまで、その人に合った衣装を家族が準備する。そんな壽衣の文化を広めていきたい」(康代表)という。