ツネイシホールディングス
33隻受注と造船事業が回復
1821億円と11%減

2018年05月10日号

  環境事業などで海外展開

常石造船の常石工場

 ツネイシホールディングス㈱(福山市沼隈町常石1083、川本隆夫会長、神原宏達社長、電084・987・4915)は2017年12月期の連結決算を発表した。売上高は主力の造船事業が建造隻数41隻(前年比4隻減)もあり、前年比11%減の1821億円。18年は39隻の建造隻数だが、受注では造船事業で得意とする大型のばら積み貨物船やコンテナ運搬船を投入し今年末には50隻を見込む。また環境事業でタイやベトナムへの展開を進めるなど世界的に高品質な日本のサービスで海外需要の獲得も計画する。
 主力の造船事業の常石造船㈱(河野健二社長)の受注は16年の駆け込み需要を終えた17年は世界的な過剰船腹量や船価や海上運賃の低迷が生じ8隻と低迷。今期受注した33隻の中でもコンテナ船が増え、タンカーやコンテナ船などのプロダクトミックスで市況への対応力を生かす。18年末までの50隻の受注額は1535億円規模の見込み。
 人材不足の中、IoT(モノのインターネット)やロボット技術を導入した省人化を推進するほか、中国とフィリピンの現地法人の人材の研修をマザー工場の常石工場で実施し海外での製造にも生かす。常石工場では20―30億円規模の設備投資も計画する。

グローバル化の中、高品質なサービスで海外展開を見据えるのが環境事業のツネイシカムテックス㈱(篠原幸一社長)。タイで排水処理事業を本格化するほか、ベトナムでもタイの事業所と連携し排水処理事業に参入。またベトナムではツネイシカムテックスのコア技術の焼却・焼成の事業化も目指す。
 国内では積極的なM&A手法もあってRPF(固形化燃料)や都市ゴミに含まれる金銀銅といった有価金属などのリサイクル事業など、収集・運搬や中間処理、高付加価値商材としてのリサイクルといったワンストップサービスの展開を推進。今期は過去最高の119億円の売上げを計上。
 国内では都市部と福島県の営業を開拓。ツネイシカムテックスの埼玉の拠点で関東圏を、RPF加工を主体とする㈱サニークリエーションプランニング(福島県須賀川市)で福島県の営業を推進する。
 また、昨年5月設立で韓国の水処理技術を持つツネイシアーバンテックの機能向上にも期待する。
 エネルギー事業のツネイシCバリューズ㈱(綿谷伸二会長)は省エネ化での石油製品の需要減少の中、フィリピンと南米のパラグアイへの中古部品の販売を強める。中古部品の再生事業に注力しニーズを獲得するほか、国内ではゴルフカートを関西と九州地区で拡販する計画。
 事業の核となる海運事業の神原汽船㈱(神原宏達社長)と関連する通関や倉庫業の神原ロジスティックス㈱(同市箕沖町109―5、宮﨑祐司社長)の3社は日中間に3隻の新規コンテナ定期船を投入し受注が拡大。市況上昇もあって279億円と前年比3%の増収を記録。
 定期船導入での安定収益が確保され、経営的にもリスク分散とコスト削減などで市況への耐性を強めた。
 ほかにリゾート事業ではテーマパーク「みろくの里」に「ダイナソーパーク」の新アトラクションで2期連続で過去最高来場者を記録。売上高も133億円と前年比2%の増収。運営するツネイシLR㈱(神原秀忠社長)は19年のみろくの里の開業30周年を控え、イベント開催で盛り上げる。
 また、ホテル事業でも「ベラビスタスパ&マリーナ尾道」がJR西日本の「瑞風」の立ち寄りや瀬戸内海観光客船「ガンツー」の就航もあり、集客増加を見込む。
 ツネイシホールディングスは国内の少子化に伴い、高いサービス品質でグローバル展開を推し進める考えだ。