繊維産地継承プロジェクト委員会
縫製工場で訓練生を募集
時給を貰いながら熟練工目指す
2018年05月20日号
人材確保で繊維産業の活性化に
繊維産地継承プロジェクト委員会(事務局=福山市新市町戸手105-2、後藤和弘委員長、電0847・54・2320)はこのほど、縫製工場のオペレーター訓練生を募集しはじめた。福山市北部地域(新市町・芦田町・駅家町・神辺町)のデニムやカジュアルウェアの縫製・加工に携わる事業者8社が結成した有志の団体で、まず長く続けられる後継者を育成することから始めて、今後は様々な企画を通して繊維産業の活性化を目指している。
募集するのは工業用ミシンで縫製する仕事に興味がある人で、定員は2人。訓練期間は6月1日〔金〕―7月30日〔月〕の2ヶ月間を予定している。訓練場所は新市町内の縫製工場で、年齢性別は不問。午前9時―午後1時までの4時間を研修時間とし、時給818円を支払う。午後からは自習時間とし(無給)、修了時にはデニムパンツが1本縫える程度を目指すという=写真は加富屋㈱工場内での様子。
16年6月に発足した同会は、これまで勉強会を重ねて意見を出し合ってきた。その中で、鞄作りで有名な兵庫県豊岡市へ視察に出向き、前述のような縫製技術者を養成するトレーニングセンターを開設している実例を見学。経営者も、労働希望者も地域も喜ぶ三方よしの活動に感銘を受け、このたび試験的に始めることに至ったという。
後藤和弘委員長は「福山市北部は備後絣から派生した繊維産業が盛んな地域で、撚糸から製織、縫製、製品加工に至るまで工場を擁し、デニム産業では世界に誇れる技術レベルを持った日本一の生産地と言われてきました。ですが最近は工場の海外移転や技術者・後継者の不足など、産業衰退が取り沙汰されています。外国人研修生も技術を覚えた頃には帰国してしまい、熟練工も育ちません。そこで、産業の発展継承にはまず人材育成が急務と、この企画を立ち上げました」と話している。今事例を元に人材育成の規模を拡大していく予定であり、また今後は繊維産業への理解を深める啓蒙活動(小中学校への出前授業など)や備後絣の継承と刷新プラン、繊維産業の発展に繋がる基礎作りなどを地道に行っていく予定だ。
委員会メンバーは、委員長:加富屋㈱後藤和弘社長、副委員長:マルカ㈱後藤賢二社長・㈲ヤングメンズ藤本貴也社長・㈱せとうちホールディングス黒木美佳さん、委員:大江被服㈱大江淳子社長・㈲ミルクリエイト水成公治社長・エスパシオ.S.E丹上洋史代表・㈱せとうちホールディングス藤井裕久さん。