BINGO
駆除有害獣をジビエに利活用
処理加工施設を新市町に開設

2018年05月20日号

猟友会が協力し安全な肉を供給

 大阪府を中心に飲食店などを経営する前田諭志社長(36)=写真上=はこのほど、安心安全なジビエ料理の食材を確保するための会社㈱BINGO(福山市新市町戸手1324-8、電0847・55・4141)を創業。6月から、同所に「備後ジビエ製作所」を開業し、有害鳥獣駆除への協力と良質の食材の安定供給を目指す。
 猪や鹿などの有害鳥獣により、近年の農作物被害は200億円前後に上っているという。福山市でも、捕獲期間・狩猟期間合わせて約2千頭の猪が捕獲されている=写真下は新市町内で捕獲した猪。農業従事者の高齢化も伴って被害が相次いでおり、また捕獲されても施設がなかったことから遺棄されて活用されてこなかった。
 農林水産省による鳥獣被害防止対策とジビエ利活用の推進事業により、現在は都内を中心にジビエ料理の店が増えており、消費者の認知度も増加傾向にあるという。同社は木造平屋建て延べ床約100㎡の古民家を改装して解体場などをこしらえ、年間約300―500頭の猪を処理していく予定だ。前田社長も自ら狩猟免許を取得し、皮剥や内蔵処理まで解体も全てこなせるという。
 捕獲者から連絡を受けて捕獲場所に直行し、個体搬送のサポートを行う。あえてそうすることで肉の新鮮さが確保でき、高齢の猟師が困っている個体の搬送や、処理が難しい捕獲報奨金申請の代行も請け負えるという。申請すれば福山市から4千円/頭、県(国)から8千円/頭の報奨金が受け取れるが、今後はジビエ活用した場合は県からの報奨額が上がるという。また、11月15日から翌年2月15日までの狩猟解禁期に捕られた場合、程度の良いものは400円/kg前後で引き取るという(成獣の雌で、内臓を抜いた状態で2万円/頭前後になる)。ただし、良質の状態の肉を確保するため、引き取る相手は猟友会会員で契約者に限るという。その他ヌートリアやアライグマ、鹿などの有害鳥獣の引き取りも積極的に行う予定だ。
 前田社長の話「売り先は大阪の店や都市部の契約店など確保しており、捕まえた分だけお金になります。きちんと収入が確保できれば、若い後継者も猟友会に入って有害鳥獣駆除も進むと思います。また解体もガイドラインに則って行いますし、来年にはHACCPも取得する予定です。将来的には電柵設置などの業務も請負っていきたい」。