福山市鞆町・西部地区
「山側トンネルルート」
23年度末完成の見込み
2021年09月20日号
医王寺の存在がクローズアップ
遊歩道整備すれば観光ルートに
広島県が行っている福山市鞆町の県道福山鞆線と同鞆松永線を結ぶ延長約2・3㎞(うちトンネル部分2・1㎞)の、いわゆる「山側トンネルルート」の工事は、総事業費約110億円で進められ、2023年度末に完成が見込まれている。同ルートは、道幅の狭い鞆町中心部に車の流入を防ぐバイパスの役目を果たす一方、平(ひら)地区など同町西部地区の活性化が期待されている。
20年には平地区の住民がNPO法人「平港から開こう会」(同町後地1567-1、岡崎健二理事長、電084・982・3333)を設立。活動を展開する中で、名刹「医王寺」(同町後地1397、宇喜多義尚住職、電同982・3076)の存在がクローズアップされている。
同寺は826年に弘法大師・空海によって開基されたと伝えられており、現在の住職は22代目になる。本尊の木造薬師如来立像は県の重要文化財に指定され、6年に1度開帳されている。
しかし高台にあるため、583段の階段上部にある「太子殿」と合わせ、鞆港など鞆の浦の全景が一望できる〝ビュースポット〟として知られてはいるが、登る人は限られているという。
今回注目されているのが工事中のトンネル西出入口上部の同寺に至る約800mの遊歩道だ。関係者の話では、この道路は1995年ごろ福山市が一般道路として建設していたが、阪神淡路大震災など、社会情勢の変化で中断し、未整備のままになっているという。
同寺の宇喜多亮弘・副住職は「トンネル完成までに遊歩道を整備すれば、西出入口から医王寺にアプローチしやすくなる。低速の電気自動車『グリーンスローモビリティ』を活用すれば、新しい鞆町の観光ルートが実現できるのではないか。西部地区の方々と共に、市などへ働きかけて実現したい」と話し、市が描くJR福山駅から尾道市浦崎町までの「ふくやまサイクリングロード(しおまち海道)」とも連携させ、「しまなみ海道」を含め、尾道からの流入客も取り込みたい意向。