虹の会
法人創立25周年
松永は福祉を誇れるまち

2021年11月10日号

地域社会の共生を考える

 社会福祉法人虹の会(福山市高西町4―3―69、電084・933・0927)は今年7月、法人創立25周年を迎えた。障がい者と地域との交流を通し、共生社会の実現に取り組む藤原博文理事長に取材した。

非常事態宣言の延長により、8月に予定していた記念行事を10月23日に催した。藤原大輔常務理事=写真=が「これから先、社会福祉法人をとりまく環境はますます厳しさを増していきますが、障がいのある人やそのご家族の不安や苦しみを理解し、共感し、それらを取り除くための努力を惜しまず、全ての方が未来に夢のある明るい希望が持てるよう、役職、職員一同、さらに知恵を出し、努力を積み重ねてまいります」と挨拶を行った。

法人化への道のり

藤原理事長は「行き場がなく、困っている人たちを放っておけない」という思いから、1987年7月、小規模作業所「ジョイジョイワーク第2作業所」を開所した。無認可作業所として運営していたが、経営は厳しかったと振り返る。事業を継続し安定した経営で、利用者に質の高いサービスを提供するためには、職員の生活や身分の保証が必要と考え、96年に社会福祉法人「虹の会」を設立した。

誰にとっても「明日の日が待ち遠しい一日を創造する」という法人基本理念を定め、障がい者とその家族が自分たちの住み慣れた地域の中で、安心して生活ができる環境の構築を目指している。松永地区を拠点に、特定相談支援事業所や生活介護事業所、グループホーム、ショートステイ等を展開。生活介護事業所「ジョイジョイワークすばる」では、65歳を迎えた障がい者もサービスの利用が継続できるよう、2019年4月1日より共生型通所介護(介護保険事業)の指定を受けた。

地域との交流行事

同法人は特に地域との交流行事に注力している。1988年から2009年まで作業所建設委員会とともにチャリティーコンサートを開催。イルカや南こうせつ、玉置浩二などの有名人を招き、2014年からは虹の会単独で開催し、19年の「六文銭&小室等 チャリティーコンサート」まで24回を数えた。ステージ発表や展示、バザーなどのイベントを行う「まつながみんなで生きよう考えよう」は、19年に31回目を迎えた。また、利用者も従事する福祉ショップのカランコロン堂で開くお楽しみ縁日「カラコロ市」は、月に1度定期的に開催している。これらの行事を通して、障がい者と地域住民とのふれあいや交流をはかることで、障がい者福祉への理解を深めてきた。

藤原理事長は、「共生社会の町づくりに40年前から取り組む中で感じることは、松永が福祉を誇れる地区だということです。これからも、利用者さんの健康に役立つ活動やプロスポーツ団体などとの関係を深め、地域との交流を継続していきます。共生社会の実現には、大勢の人に参加してもらい、利用者も一緒に時間を共有し、互いを認め合うことが重要です」と語る。

社会福祉の充実に長年貢献したことに対し、7月1日に福山市から感謝状が贈られた。「職員や利用者、その家族みんなで地域貢献に取り組んだことが認められて、いただけた表彰だと思っています。叔父から教えを受けた『人儲けこそ成功への道』の言葉を大切にしてきたからこの今があります。私一人の力ではなく、施設の職員、地域あってこそです」。

 

 藤原博文理事長(75)=1946年6月9日生まれ。現在は、福山市地域福祉貢献活動協議会副会長、福山市障害者(児)施設連絡協議会会長、福山市社会福祉施設連絡協議会副会長、広島県知的障害者福祉協会理事、日中活動支援部会部会長などを務める。