万里子の首都圏リポート㉝②
育児メディア「HugKum」
編集長 村上奈穂さん

2022年01月20日号

育児メディアの〝ママさん編集長〟
最大級のユーザー数を獲得

 村上奈穂さん(41)は福山市鞆の浦の出身。2018年に小学館(東京都千代田区、相賀昌宏社長)が運営する育児メディア 「HugKum」(はぐくむ)を立ち上げ、20年に育児メディア最大級のユーザー数へと成長させた。21年10月には編集長に就任。陣容は社員5名の他、フリーランスの記者やカメラマンなど約30名。それぞれの得意分野を活かした企画を挙げてもらい、月200本を超える記事をアップ。「遊ぶ」「パパママの教養」「食・レシピ」「暮らし」「おでかけ」等々、子育て中の親たちのニーズに合ったコンテンツを提供している。現在月間web閲覧数は800万~1千万PV、500万UU、メルマガの登録会員数は1万2千人にのぼる急成長ぶりである。

 村上さんは、大学時代にはファッション誌を毎月10冊読み比べていたほどファッションに関心が深く、「雑誌に夢をもらってワクワクし、ファッション誌の編集者を志した」とのこと。2社を経て06年、小学館に入社。エビちゃんブームで最高部数を記録した『CanCam』、杏さん表紙時代の 『Oggi』でファッション企画を担当した。その後、長女出産後の育休中に夫のロンドン赴任に同行し、 現地で3年間、子育てだけの時期を過ごした。帰国後「子どもに関わる仕事を!」と保育士向け雑誌を経て、「HugKum」の立ち上げに関わった。

 ウェブは雑誌とは作り方が異なる点がいくつもあるそうだ。「95%の人がスマホで見るので、まずはスマホで読みやすい工夫をしている。また、ウェブは1記事単位で読者を連れて来るという考え方。育児中の人の悩みや経験を、即、記事にできるという瞬発力がウェブは優れている」。メルマガ会員にとったアンケートをすぐデータ化してアップ出来るのもウェブの良さ。一方、雑誌と変わらないものもある。出版業界では「売れる雑誌は皆、(メンバーの)仲が良い」と言われているそうで、村上さんも「何でも言いやすいチームづくり」を目指している。

 今、力を入れているのは「SDGs」と「発達障害」。前者は、子どもたちは学校で学んでくるが親たちは追いついていない現状があり、それをフォローしたいとのこと。後者は悩んでいる親にとってはなかなか周りに相談しづらい分野。「HugKum」でしっかり取り上げることで、一般の親にも情報を届けたいという。また、「発達障害に力を入れている育児メディアは他にはない」と差別化にも自信を見せる。今後の展望としては、会社が過去に出版した「ぬりえ」や「ドリル」をダウンロードして使うなど、出版社ならではの企画を考えている。

 ▽村上奈穂=1980年3月生まれ。㈱鞆スコレ・コーポレーション・村上正高社長の長女。福山暁の星女子中学・高校を経て、早稲田大学を卒業。2006年に小学館入社。現在同社の育児メディア 「HugKum」編集長。趣味はコロナ禍をきっかけに始めたキックボクシングで、心身のリフレッシュをはかっている。二児の母である。https://hugkum.sho.jp/