デジタル活用し福山市周遊
SONYロケトーンで実験

2022年02月20日号

ロケトーンアプリ

 備後では地域のデジタル度向上の取組みが官・民で進んでおり、デジタルを活用し楽しみながら旧鞆街道・しおまち海道をめぐるツアーの実証実験が行われている。話題の観光周遊アプリ「Locatone(ロケトーン)」(SONY)を用いたもので、自転車を活用したまちづくり団体〔一社〕せとうちPEDAL Life」(同市、島田宗輔理事長)と地域振興団体「田尻の未来を考える会」(同市、藤井勝久会長)が企画に協力。プランの魅力をリポートする。(高橋真木)

はじめに
 同実験は、国土交通省によるMaas(様々な移動ニーズに対応したサービス)推進の一環で行われるもので、広島県のテクノロジーの実証実験の場「ひろしまサンドボックス」に採択されている。主軸の移動対応として、アサヒタクシー㈱(福山市、山田康文社長)がタクシーの相乗りプラットフォーム「ニアミー」とコラボレーションし、自転車搭載可能なシャトルバスなどを手配する。昨今サイクリングロードとして人気が高い実験ルートを、駅前のゲストハウス「エリアイン伏見町」(同市伏見町4―33)にレンタサイクル事業を展開するせとうちPEDAL Lifeが協力して、様々な移動ニーズに対応する。

soundAR・ロケトーン

 ツアーをナビゲートするアプリ「ロケトーン」は、利用者がマップ上にある特定のスポットを訪れた際に、自動的にその場に応じた音声や音楽を流し、特別なコンテンツやARカメラでの記念写真等の機能を提供するsoundARサービス。その場所に行かないと聞くことができないという特別感で、街の新しい魅力や楽しみ方の発見につなげていくという。普段はアニメや漫画にまつわるスポットを回遊する〝聖地巡礼〟向けツアーが主力だが、このほど初めて地方の観光地ツアーをリリース。SONYの担当者の一人が福山にゆかりがあることからコラボが実現した。

瀬戸内絶景コーヒーの旅

サイクリングの様子(イメージ)

 自転車やシャトルバス、タクシーで福山城を出発し、鞆の浦を目指すツアーの名称は「瀬戸内絶景コーヒーの旅」。ロケトーンの案内で主要スポット20カ所を巡る中、知る人ぞ知る田尻の絶景スポット「田尻ばら園」のテラスで、景色を眺めながら自分でコーヒーを淹れて飲むお洒落な体験にちなんで付けた。このスポットが良質な湧き水に恵まれており、水汲み場としても地域に親しまれていることから、その水を沸かして使用する。同コーヒープランは、空間デザイナーで焙煎家でもある㈱PRISM DESIGN CONAULTING(福山市水呑町)・社長の小林正典さんが監修し、オリジナルブレンドを開発した。実験期間中はスポットにコーヒーセットが常設してあり、音声ガイドがレクチャーをする。同所をはじめ、スポットには、あんずロード、田尻灘、民俗資料館、風呂が端、八幡神社、杏試験地など、コースの中間地である田尻のディープなスポット巡りが充実しており、それらのコンテンツ作成には、田尻の未来を考える会が協力した。「ここでしか味わえない」貴重な体験できると好評だ。

エフエムの平野さんナビ

 ツアーの音声ガイドはエフエムふくやまのパーソナリティーなどで活躍している平野敬子さんがナビゲーターとして、スポットにまつわる様々なウンチクを語っている。また、田尻ばら園では、小林史明デジタル副大臣によるラジオ番組風のガイドが流れるなど、遊び心も満載。

民間主導のまちづくりを

メーンは田尻でのコーヒー体験

 利便性が高い福山駅前、自然あふれる芦田川を抜けて海沿いを目指すしおまち海道は、平坦な道が多く、サイクリング初心者にも挑戦しやすいコースと言われている。同実験が、認知向上の起爆剤になることも期待されている。

 プラン作りを担当した島田理事長の話「しおまち海道は、サイクリングやドライブ問わず、魅力を感じていただける素晴らしい瀬戸内の財産です。また、今回の実験で、デジタル系企業様をはじめ、福山に様々な関係人口を増やすことができました。今後このような民間主導の柔軟な実証実験が増えることで、より良いまちづくりにつながることを願っています」。

 同実験は2月20日まで無料で実施中。参加希望者はロケトーンのアプリをダウンロードして実験紹介ページより予約可能。