英会話教室wokwok
シドニー英語短期留学体験記
「私が体験したシドニー12日間」
2023年09月01日号
英会話教室wokwok(福山市千田町3―33―25、河相貴子代表、電084・994・1403)が主催する、13歳以上を対象にしたシドニー英語短期留学(オーストラリアキャンプ)に参加した。7月29日から12日間の体験記を紹介する。
短期留学プログラムの特徴
オーストラリアキャンプには、広島を中心に関西、関東の大人4人と中高校生5人のメンバーが参加した。このキャンプの特徴は、現地コーディネイターのHiroさん(ポッドキャスト「絵本で英会話」主宰)が企画したプログラムにある。参加者は、自然に親しむ・コミュニケーションと英語力・冒険とリーダーシップ・文化と歴史を学ぶ・ボランティア、という5つの分野の体験を通して、プログラムコンセプトである「Be your best self(最高の自分であれ)」に取り組んだ。
オーストラリアはヨーロッパやアジアを中心に多様な移民を受け入れている多文化社会である。毎日行われた午前中の英語レッスンでは、国の成り立ちや先住民アボリジニの歴史、日本との生活上の価値観の違いや生活コストの比較、訪れる先の事前学習や振り返りなどを全て英語で行った。中でもユニークだったのは、自分自身の内面や強みを学ぶために、性格自己診断テスト「16 Personalities」を組み入れていることだ。参加者は事前にインターネット上のテストを受け、自分がどのタイプのパーソナリティを持っているかを認識した上で、グループレッスンで共有し、意見を交わした。
午後からのアクティビティでは、聖マリア大聖堂やオーストラリア博物館、タロンガ動物園、チャイナタウン、シドニーを代表する建築物であるハーバーブリッジやオペラハウス、観光の中心地サーキュラー・キー、シドニーからバスで約2時間離れたブルーマウンテンズなどを見学した。また、QVB(クイーン・ビクトリア・ビルディング)での買い物や「ティナ・ターナー・ミュージカル」の鑑賞、障害のある人のセイリングを手伝うセイラビリティというボランティア活動などを体験し、シドニーの魅力を満喫した。
このように、プログラムはただ単に英語力を向上させるだけでなく、日本を離れたシドニーという多文化の環境で、視野を広げ、新しい視点から世界を体験できるようにデザインされている。
12日間を振り返って
今回、40代の私にとって、10代の中高生と活動を共にし、その考えをグループレッスンの中で共有できたことは、ほかでは経験することのできない良い機会となった。価値観の違いなど、世代間ギャップは存在するが、目の前の10代が感じていることを推し量りながら、自分自身を投影することで、フレッシュでむき出しだった当時の自分に再び出会うことができたのは貴重な体験となった。
体験のこぼれ話
多彩な食文化
多文化を凝縮したシドニーを歩くと、アジア系の人種が多いことに気づく。そのため食文化は多彩だ。メインストリートの1つであるジョージ通りには、中国料理、タイ料理、日本料理、ベトナム料理など様々な飲食店が軒を並べ、週末となると多くの若者で賑わっていた。
チャイナタウンにある巨大なパティーズマーケットの農産物売場=写真=には、アジア中の野菜や果物が並んでいるのではないかと思うほどで、日本の菊や白菜、ナス、えのきなどが新鮮な状態で売られ、日本食材が容易に入手できることに驚く。1キロ単位の販売価格も数百円と、決して高くはない。
また、世界的な健康食ブームが続いていることも相まって、シドニーでは日本食が受け入れられていることを感じた。グルテンフリーのチーズケーキや高級すし店、とんかつなどの和食、ラーメン店が流行っているのを目にした。特に、日本の抹茶は人気だそうで、ケーキやスイーツなどのフレイバーとして認識されているそうだ。日本の加工農産品やお茶などの嗜好品の販路としてオーストラリアは非常によい市場であると感じた。有機栽培や高級品、ブランドなどの付加価値を付けることで、高価格で販売できる可能性がある。特に茶の製造産業は、日本の有機茶を広めることに挑戦してもらいたいと思った。
生活コストは約2─3倍!
英語レッスンでは生活コストや収入に関する日本とオーストラリアとの比較もあった。オーストラリアの最低賃金は日本の約2倍だ。そのかわり、生活コストも2—3倍となっている。
シドニーでまず驚いたのは水の価格だった。水1リットルが、コンビニで約1千円、スーパーで買っても約300円。オーストラリア産の「イエローテイル」という白ワインが日本では900円程度だが、現地では1本1100円。輸出国よりも日本で安く売られているこのからくりがよくわからない。まして、水とワインの値段がほとんど変わらないことにも驚いた。ちなみに、私の大好きなウイスキーの値段は2倍を優に超えており、手が出なかった。
ライフワークバランス
訪れた博物館や動物園で体験した午後5時の閉館時間厳守の徹底には驚いた。4時30分を過ぎると、愛想のよかった店員が血相を変えて来客の退出を促す。ブルーマウンテンズバスツアーはまるで笑い話だ。ツアーのドライバーのベンはとても説明熱心で人柄もよく、私たちは1日中そのツアーを楽しんだが、ツアー終了時間が押したらしく、16時30分を過ぎるとオリンピックパーク近くのフェリー乗り場に乗客全員を降した。ベンはツアー代から10ドルを全員に返し、フェリーに乗ってセントラルシドニーまで戻ってほしいと説明した。しかしフェリーは出たばかり。その後、2時間をかけてホテルまで戻ることになった。だが、このハプニングのおかげで、私たちはシドニー湾でのナイトクルーズを楽しむことができた。写真のオペラハウスはそのフェリーから撮影した最も思い出に残る写真だ。