備後オープンファクトリー
5/12—14に業者向け展示商談会
10社が繋がりシナジー効果期待

2026年04月01日号

新しい家具の産地として価値創造

心石工芸

今年3回目を迎える「備後オープンファクトリー」(BOF、https://bingo-openfactory.com/)が5月12日〔火〕—14日〔木〕の3日間、府中・福山市内で開催される。全国の小売店やバイヤー向けの展示商談会で、発起人は、若葉家具㈱(府中市高木町1201-1、電0847・45・5816)の井上隆雄社長と、㈱心石工芸(福山市柳津町4―5―20、電084・933・3335)の心石拓男社長。参加企業10社が各自で工場・ショールーム見学や新商品の展示、デモンストレーションなどを行うほか、参加企業同士の情報共有化を進めシナジー(相乗)効果を狙うという。 (山田富夫)

府中家具の歴史

若葉家具

今から300年ほど昔の江戸時代中期、ある書物に「内山円三(備後国有磨村=現・福山市芦田町)が大坂で箪笥作りの技術を学び、指物師の内田多吉(広谷村鵜飼=現・府中市鵜飼町)がこれを学び……」とあるなど、府中家具は箪笥作りから始まったという。同地域は銀山街道や芦田川などの水運もある交通の要衝で、備後桐など良質の木材の産地でもあり、大正期には一大産業になった。

若葉家具

戦後に芦品家具工業協同組合(1956年に府中家具工業協同組合に改称)が作られ、原材料の共同購入や共同見本市の開催などが盛んに行われるようになった。戦後復興と高度経済成長、核家族化の中で、結婚して新生活を営むカップルが急増していたことから、組合内で、互いに得意としている商品を組み合わせてクロスセルにする「婚礼家具セット」を打ち出したところ、やがてブームになり、府中家具の名前が全国に知れ渡った。

現在は、生活様式の変化や少子高齢化、経済の停滞などで婚礼家具セットの需要は激減し、各社の持ち味を生かしたデザイン性やコンセプトに特化した商品が作られるようになり、府中家具は新たな転換期にさしかかっている。都内や飛騨、大川、旭川など有名な産地での展示会へそれぞれで出展しているが、最近はコロナ禍やDX化の影響もあって、都内で開催される巨大な見本市でも集客が振るわなくなってきているという。

塚元木工所

オープンファクトリー提案

展示会場への搬入には、大変な時間や労力がかかる。コストパフォーマンスの観点からも、作り手の想いをきちんと伝えるためにも、産地へ来てもらって工場やショールームを直接見てもらう「オープンファクトリー」が必要と、井上社長らが提案。その際、各社が個別に行うよりも、婚礼家具セットを作った時のようにクロスセルでシナジー効果を高める取り組みにしようと、開催時期を揃え、パンフレットなどを制作して互いに紹介し合うことにした。また、連携を高めるために共同で工場見学の練習会を開いたり、他社の営業力などを肌で感じたりして、「本番前からとても良い刺激をいただける」と井上社長は話している。全体で第1回に100社弱の来社があり、第2回では130社を超え、新規顧客も大きく増えたという。

心石工芸

出展する10社

今回の出展者は以下の通り。㈱心石工芸https://www.sofa-kokoroishi.jp/)、高橋工芸㈱(府中市高木町1113、https://www.takahashi-kougei.com/)、㈲塚元木工所(福山市北本庄2―8―9、https://tsukamoto-mokko.co.jp/)、伝統工芸㈱(府中市上下町階見1503、https://dento.furniture/)、土井木工㈱(同市府川町57—1、https://www.doikagu.co.jp/)、㈱BIOS(同市鵜飼町800—85)、松井木工㈱(同市高木町220、https://matsui-mokko.co.jp/)、マルケイ木工㈱(同市栗柄町3228―2、https://www.marukei-woodworks.co.jp/)、㈱松創(同市広谷町953、https://www.matsuso.com/ja/)、若葉家具㈱https://wakabakagu.com/)。工場・ショールーム見学のみのところから、ワークショップ、新商品展示、メンテナンス教室、トークショー、CADデモンストレーションなどの催しもある(内容や予定は各社のHPを参照)。

府中家具の新しい価値創造

若葉家具では、2階の新作展示コーナーに「スナックまこと」を開店する。同社の家具を多くデザインしているデザイナーの小泉誠氏がマスターとして在廊し、来館者とフリーで語り合う〝つくり手とつかい手との親密な企画イベント〟を行うという。

伝統工芸

府中家具工業協同組合の理事長でもある井上隆雄社長は「カタログやいくつかの代表的な家具を見せたり、同業他社と並んで紹介したりするだけでは、自分たちのコンセプトから離れて行く気がします。小泉さんも私たちも、暮らしの中の〝住まい〟に注目しており、家具を使われる方のライフスタイルとシンクロさせたものにしていきたいのです。そのためには、実際に販売に関わる方に、どういうコンセプトで家具づくりに取り組んでいるか、を理解していただき、お客様に伝えていただきたいのです。その中から見えてきた、お客様の要望や需要などをフィードバックしていただくことが、お客様と小売店、メーカーの絆を太くすることに繋がります」と話し、「また、そうした縦糸と共に、BOFを通して横の絆も深めあい、シナジー効果を大きくすることは、新しい家具の産地としての価値を創造することになると確信しています」と話していた。