坂本利晴社長
坂本建設工業㈱
究極の高気密高断熱の家

2015年02月01日号

ゼロエネルギーを実現

快適で健康な住まいを
電気代もかからない家

坂本中坂本建設工業㈱ 社長
さかもととしはる
坂本利晴さん(60)
 2020年からCO2排出量削減のため、国は建設分野での省エネ基準を厳しくしていくという。そこで同社は、様々な最新機器や素材を駆使して環境負荷の少ない家を提案。このほど超高気密高断熱住宅を企画し、経産省の補助金事業「住宅・建築物のネット・ゼロ・エネルギー化推進事業」にも認定された。
-ネット・ゼロ・エネルギー住宅とは
「再生可能エネルギーの活用と高断熱性能を誇る機器及び制御装置を組み合わせることで、年間の一次エネルギー消費量を正味(ネット)でゼロにする住宅のことです。今回建設した家は、5・5kwの太陽光発電システムを載せ、余剰電力を売電する仕組みにしています。実際にヒートポンプ床暖房のみで1カ月過ごしたところ、電気代は5千円程度しかかかりませんでした」
-家の仕組みについては
「壁は通常の倍の厚みで、200㎜のハイグラスウールが入っています。熱が逃げやすい窓は樹脂サッシと3重ガラス(アルゴンガス入り)で断熱効果を高めています。天井には300㎜のハイグラスウール(傾斜部)と不燃性セルロースファイバー(平坦部)を使いました。また高効率のエコキュートとオール電化を採用。床暖房のほか各部屋から吸気して90%の熱を回収できる高機能熱交換システムも取り付けています。HEMS=ヘムス(エネルギー監視システム)で電力消費量の見える化やコントロールを行います。壁土は珪藻土を使用して調湿効果なども持たせ、外壁内を空気が通る層を設けて輻射熱を屋根上に逃がし、壁内の配線や配管なども気密性や効率性を高めた配置にして壁内部の結露も防ぐ設計になっています」。hito
-社長が目指す家とは
「NPO法人『新木造住宅技術研究協議会』(本部・北海道)に10年前から加わり、勉強会にも積極的に参加しています。同会ではQ値(熱損失係数)を1以下に抑えるための工夫を研究しあい、快適で、健康的な生活を送れる家づくりを目指しています。温度差がなければ、脱衣所やトイレでのヒートショックも防げますし、結露を防ぐことでカビやダニの繁殖も抑えられます。高性能な機器類は高価ですが、年間電力消費量も1/6程度に軽減できる上、国の補助金対象になりますので、長期的な視野に立つと、一般的な住宅を購入する費用と大差はありません」。
-今後の目標を坂本表
「広島県の次世代住宅の省エネ基準値は2・7ですが、今回の弊社が作った家は0・95を実現しました。2050年にはCO2排出基準等相当厳しくなっていることが予測されますので、その基準にも対応できる家をこれからさらに研究してご提供して参ります。年間10棟程度を建設しており、利用者様の正直な感想を聞いていただくためのバスツアーなども計画しておりますので、見学会等お気軽にご相談下さい」
▽坂本建設工業㈱=福山市駅家町大橋1005-1、電084・976・4501
▽坂本利晴=1954年、福山市沼隈町生まれ。77年に広島工業大学建築科卒。岡山県内の大手建設会社に入社。82年に帰福し、翌年に現会社に入社。93年に社長就任。